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満月の夜。 俺は、足場の悪い山道を、六〇キロの袋を担いで歩いていた。事前に掘っておいた穴に到着する。穴の横に袋を降ろすと、鈍い音が響いた。 袋のファスナーを開ける。 ヘッドライトが死体を照らし出した。 若い男。 茶髪に、軽薄そうな顔つき。その右半分は、口径の大きな銃で撃たれたらしく、無くなってしまっていた。 この男が殺された理由――それは、俺の仕事には関係がない。俺はただ埋めるだけだ。 手袋をした手で、死体を担ぎ上げようとした。 その時。 男の残された
「それじゃあよォ、ワレそん外道を放ってノコノコ帰ってきくさったんか!」 若頭のライ太郎が、ぷに丸に怒りを示すように応接机を蹴りつけると、水晶製の灰皿が浮き上がった。ぷに丸は何も口を挟めず、ただエアポンプの音を小さく響かせながら、俯いて揺らいでいるばかりだ。デザイン的に顔のない彼だが、どうやら反省しているらしかった。 粗製濫造された着ぐるみ達に目をつけた日本政府は、安価な労働力として彼らに魂を定着させる外法に手を出した結果、着ぐるみによる犯罪行為の多発を許した。 魂