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周囲への警戒感と 影への溶け込みは 元ハイシーフの名に恥じぬ 脂のはじける音と共に玉ねぎを炒め 若いデミオークのひき肉を加えると 薪の弾ける音に合わせて 甘く香ばしい香りがポワンと広がる 襲ってくれって言ってるようなもんだナ 「おい、ムコヤマ!」 「いつも通りのいい匂いだな!」 リーヴァがいるのは分かっていた 壺の中で熟成した シナモンとナツメグが混ざったような体臭 ――あの独特な香りに、ずっと遠くから気付いていた 振り返るとそこには 2メートル超の愛くるしい