逆噴射小説大賞2019:エントリー作品
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本
超密着!世界ランタンロイヤル
我が魂は年一度ハロウィーンの夜に甦る その時地上で最も強大なジャック・オ・ランタンを産み出した者の願いを叶えて進ぜよう
ジョン・バンボギンが死んだ、その暴力と異能を以って世界を牛耳る鬼子は腫瘍で呆気なく逝った。均衡は崩れ、世のアウトロー共は彼の遺言に野心を駆られるのだった。
それから始まった世界ランタンロイヤルも今年で52回目、今回も我々取材班は独自に注目した選手達に密着取材を試みた。
ナガヤマ・カイジュー・ディフェンス社「ジェットセイバーⅤ」墜落事件
全長50mを超える巨大な怪獣が、住宅を、電柱を、自動車を、総てを圧し潰しながら歩みを進める。立ち向かうのは、上半身が緑、下半身が黄色に塗られた、全高10mほどの人型ロボット。サイズの差を物ともせず果敢に挑みかかるロボットだが、怪獣が吹き出す暴風に押し返され、有効な攻撃が与えられない。
もはやあの怪獣を止めることは出来ないのか。人々がそう思った矢先、赤、青、紫で構成されたロボットが雲中から猛然
T.Q.B.ファイターズ!
白く光る飛行機雲が、少年の視界を横切った。
それを眼下に眺めながら、少年は操縦桿に少し力を込めた。少しだけ下を向いたコックピットが、向かい風に揺れた。シャツに包まれた、少年の乳首にひんやりした感覚が走る。少し顔を赤らめつつ、少年は操縦桿を左に傾ける、まるで最初からそこに上昇気流が吹いていることをわかっていたように、彼の乗る戦闘機はふわりと浮かんだ。
男性の乳首が、単なる痕跡器官ではないこと