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逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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小説の冒頭800文字でCORONAを勝ち取れ。ダイハードテイルズが主催するパルプ小説の祭典、「逆噴射小説大賞2019」のエントリー作品収集マガジンです。だいたい1日1回のペースで…
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#ホラー

鎮守の森に近付くな

鎮守の森に近付くな

 今日、また「鎮守の森」が拡がる。3年前のある大雨の日、K地区の全域を「鎮守の森」が覆い尽くした。K地区の住民とは一切連絡が取れなくなり、調査に入った市の職員は一人も戻らなかった。行政はドローンなどで内部を調査しようと試みるも、鬱蒼とした木々が視界を遮り、状況が確認出来ないまま徒に時は過ぎた。その後、決まって大雨の日に「鎮守の森」は拡大し、ゆっくり、しかし着実に街を飲み込んでいった。「鎮守の森」か

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呪われたので呪い返しにいこうかな

足音が聞こえる。
本当は鳴っているハズの無い足音が……。

ぺたっぺたっ

理由はわかってる

ガチャン

あ、壁に飾ってた額縁が落ちた。
ポルターガイストって本当にあるんだー。

確か日本では家鳴り(やなり)っていう妖怪だっけ?

とか、どーでもいい無い雑学が頭をよぎる。
そういえば子供の頃妖怪をメダルにして集めるのが流行ったっけ。
妖怪のせいなのね。そうなのね。

もうすぐ死んじゃうんだと思う

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夜を撫でる手

夜を撫でる手

早朝。
ひんやりとした心地よい気配に、目を開ける。
薄っすらと青みがかかった静謐な空気の中、ぼんやりと周囲に目をやると、部屋が樹海になっていた。
ベッドを中心として半透明の植物達が所狭しと生態系を構築し、淡い緑色に発光する粒子が海中のクラゲのように漂っている。苔むした布団から身を起こしあくびをする俺の横を、光る小魚の群れが泳いでいった。
「あたりだな」
素晴らしい目覚めだ。
昨日は大小様々な虫達が

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貪婪の王はかつえる

貪婪の王はかつえる

 貪婪の王の話をしようか。

 俺がいきなりこんなこと言い出して、腫瘍で脳までイカれたと思うだろう、倅や?
 だがこいつはお前だけ、お前だから話すんだ。俺が女共に産ませた子供の中で、お前がいっとう俺に似てるからな。母親が良かったのかも知れねえ、名前は何だったっけ?
 そんな顔するな。自分がひとでなしだってことは嫌って程解ってる。お前が俺を嫌ってるのも知ってる。その上、酷い嵐なのにわざわざ俺の話を聞

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We“can't”sleep:保安官補佐パトリックの覚書  『Snake oil ①』

We“can't”sleep:保安官補佐パトリックの覚書  『Snake oil ①』

 イリノイ、クインシーから馬で半日ほどの郊外。ぽつんと立つ小屋を見下ろす丘の上。
 俺は退屈に耐えていた。

「しかしだ、またガセじゃないのかね」

 何杯目だかわからない安コーヒーを啜り、ぼやく。

「気を抜くなよぉ、パット」

 大男のオリバーが愛用のコルトを磨きながら言う。

「“we never sleep”。それに、ハルとジョンが戻る頃合いだよ」

 得意げな顔。神はこの男にユーモアセン

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ダウンフォール・オブ・ザ・トリックスター

ダウンフォール・オブ・ザ・トリックスター

「こわいこわいもうやだこわいやだこわい」

圭子はついにその場でへたり込み、うわ言を繰り返すだけの存在と化した。井上さんはまだ自分のネクタイを旨そうに咀嚼している。

館を焼き焦がす炎はいよいよ私たちに迫り、灼熱の空気が喉を焼く。脱出しなければ命は無いが、唯一の出口にはあの男が立ちはだかり、こちらに銃口を向けている。藤堂すみれは初めからこの男を蘇らせる事しか頭になかったのだ!

BLAM!!!

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怨念の星空

怨念の星空

 無限に続く宇宙の星々も、見飽きてしまえば暗幕の上に置かれたビー玉と変わらなかった。
 宇宙作業員の訓練をしている最中はわくわくしていた。だが、いざ宇宙に上がってみると一週間と経たずに飽きてしまった。最初はアトラクションのようで楽しかった無重力も今では不便さばかり感じる。30年以上連れ添った重力がいかに大事だったかをマットは実感した。
 「第4ブロック異常なし。どうぞ」
 通信機でマットはジョセフ

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玻璃盤(ハリバン)の胎児【第2回逆噴射小説大賞応募作】★ご注意:胎児や生命に関する不快な表現が含まれています。

玻璃盤(ハリバン)の胎児【第2回逆噴射小説大賞応募作】★ご注意:胎児や生命に関する不快な表現が含まれています。

月のない闇の中、おれは、リアカーを引く。

おれの名は、AKI 。

チリン、チリン、チリン、古びたアパルトマンに挟まれた石畳の上を、鈴を鳴らしながら引き歩く。

リアカーの一番前には、ホルマリンで満たされた茶色の甕を、残りのスペースには、ちょうどメロンが入るほどの円筒形のガラス瓶(玻璃盤)を載せて。

チリン、チリン、チリン、カシャ、カシャ、カシャ。

一棟のアパルトマンから、前掛けで何かを隠し

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黒い海に降る星

黒い海に降る星

雲一つ無い満月の夜。
山の上に少年と少女。二人は眼下の港町を見下ろす……町明かりはない。
何時からこの世界は狂い始めたのだろう?

クジラやイルカの座礁数が異常増加してから?

2年前太平洋ヨット横断に挑んだ冒険家との通信途絶から?

リゾート地や漁場での原因不明海難事故が急増してから?

環太平洋地域で正体不明の肉塊が毎日の如く漂着しだした頃から?

南太平洋の無人島が一夜にして消滅してから?

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プレゼント・フロム・エリア51

プレゼント・フロム・エリア51

「これが例のブツだ」
「これが、ねえ…」

 俺は、「例のブツ」を胡散臭げに眺めた。

「何だよ、信じられないって言うのかよ」
 笹島は、不満そうに言った。

「いやあ、だってさあ、これ…」

 俺は、同級生の笹島仁の部屋で、奇怪な物体を見せられていた。

 全体的には、銅色をした一片が30㎝ほどの金属製の立方体だ。
 俺から見て、正面に当たる部分には、大きな丸いレンズが1つ据え付けられている。

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マジナイサマ

マジナイサマ

「どないしたんな」
老人が虚空を眺めながら問いかける。
ぼくの額からは汗がとめどなく流れており、走ってきたせいか鼓動が耳の中に反響する。
「あれを」
ぼくは乾いた唇を舐めて湿らせた。
「あれを知ってたんですか」
老人はちらりとこちらを一瞥して口角を上げた。
「ゆうたじゃろ、あんなとこ行かれんて」
そうだ、止められたのに行ったのはぼくだ。

大神子(おおみこ)海岸は砂地が少なく砂利でできた浜だ。

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時間外25:00

時間外25:00

「残業申請は認めてやるが、それは自分が無能だと吹聴するのと同じだぞ」

 コートを羽織りながら、課長がこちらも見ずに吐き捨てた言葉を思い出す。あれは16時だったか17時だったか。とにかく定時前であることは間違いない。今日は飲み会。予定にない。うちの部門長は単身であり、決算期のこの時期であっても構わず声をかけてくる。課長はその誘いを断ったことはなく、それは当然俺たちの同席も意味する。タイミングが悪か

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