小説の冒頭800文字でCORONAを勝ち取れ。ダイハードテイルズが主催するパルプ小説の祭典、「逆噴射小説大賞2019」のエントリー作品収集マガジンです。だいたい1日1回のペースで…
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#DHTPOST
プロレスを■した者たちへ
プロレスリング『獅子』社長は、先の無観客試合におけるリング禍について「全て筋書きに沿った演出」と説明。王者含む四名の死の事件性を否定した。
「良かった、演出か……」
王者・益荒男の死を聞き、泣き崩れた友人の顔は今も忘れられない。獅子プロは明後日の興行開催を確約し、友人含む数多のプロレス通を安堵させた。
あなたは忘れるはずもない。
その友人が特に推しているマスクマン、ケビイシが会見の場に現れた
The last day of the 90's dream
1999年12月26日、日曜22時。店のシャッターが下りた。この場所は、ひと足先に90年代の終わりを迎えた。涙が流れた。
◆
1995年の春、俺は毎日のようにゲームセンターへ通っていた。行きつけの店『ナインティーズドリーム』。ゲームを終えた俺は英文字三字のスコアネームを入力する。『AKI』。アキと呼ばれている。
「ようアキ。もう『アルカード』の対戦でお前に勝てる奴はいないな。誰も乱入して来な
無軌道野郎と秘密の花園
都会の僻地、灰色の広い空、歯医者が多い町。整備されていない歩道に、スーツ姿の女が早足でキャリーケースを転がす。
「ハア……」
女の溜息に反応したかのように、携帯電話の不気味な着信音が鳴った。
「はい塚本です、お疲れ様です。今、老人ホームの前です。近くですか、はい、ありました。『花園』。ええ、どうも、では宿に向かいます、はい」
薄汚い男部屋に、ゲームパッドの激しいタップ音。髪を逆立てたパンク