逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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阿修羅の少女は蒼穹に翔ぶ

第三、第四腕の感覚は、ここの神経を使うのよ。と、優羽花さんが私の肩甲骨の辺りをなぞりながら教えてくれたことを、翔ぶたび思い出す。
「CP。こちらカグツチ01。対象は見当たらない」
『了解。カグツチ01、警戒を続行せよ』
静寂に沈んだ高層ビルの隙間を、私達四人は往く。
”敵対勢力”が出現して10年。適正を認められた私達は、自動的に”学園”へ集められ、学び、訓練し、”それ”と戦わされる毎日だ。

「み

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クナト・ビデオシステムズ ビデオ撮影・編集・ダビング一括お任せ ※妖魔退治もお請けします

お客さんビデオ屋さんなんですか? へー。

レンタルとかではなく撮る方。なるほどなるほど。確かに肩が大分張ってますね。

ん? と言うか全身かなり凝ってますね。やっぱり身体使う仕事なんですか?

あー、タレントさんが「決死行! アマゾンに隊長が散る」みたいなのでもカメラ持って同じとこ行くんですもんね。正直あれはカメラマンさんのがすごい気が。

あの~……なんか情報番組とかの話って有りませんかねぇ。

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Unlocker! 美女の扉と少年の鍵

バーの照明が消えたのかと思った。

「貴方がミカルね」
油臭い水を啜っていた少年……ミカルは、遥か頭上から降る低い声で初めて、自分を呼びつけた女性によって灯りが遮られているのだと気付く。
女性という前置き無しに、巨きい。2mはある。加えて羽織ったロングコートの乾いた煙の香に、無意識に少年は緊張していた。

新聖暦333年。階層都市【アリアドネ・ヘプタゴン】。最下層。
11月だが、そこは地獄のように

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第7師団山裾防衛隊隊員録 王女と戦闘あほ

払暁王国第13王女たる私、メレディスがこの場にいることが間違いだと思ったのはこの一週間で何度も有ったが、今感じているその感情の理由は大きく変容していた。

「姫様ァ! いや、少尉殿ォ! ちゃんと隠れていますかァ!」
カスタムキャノンの流れ弾が、私のうずくまる大木の幹を削り取っていく。しかしロクロウ准尉の胴間声のほうがよっぽど大きい。
人間なのか。彼は。私と同じ。
「j0lb/」「]lq@」「gk4

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バングズ・サイレンサーズ

オフィス街の外れ。週末。夜。
事前の規制・誘導が奏功し、自動車と人々の音は遠い。今やこの通りは、対象と我々しかいない状況に整えられていた。
猫背気味の姿勢を不意に正し、不自然な周りの様子にようやく気付いたらしい対象は、我々を振り返る。

「遠山カナトさんですね。厚生省、消音課の王村です。こちらは同じく沼藤。ご同行を願います」
「なっ、サイレンサーズ……本当に存在していたのか」
「ええ、噂を聞いてい

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