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#エンタメ
Hit&Subdue 俺たちスーパー暴力マン
ーーなんで俺がこんな目に!
ビルとビルの狭間の人気のない狭い通り道で一人の男が逃げ回っていた。
迷路のように入り組んだ路地裏を、土地勘のない男はただ無闇にひたすら走っていた。
男は上裸だった。
「おい待ってくれよ!悪いようにはしないからよー!」
男を追うのは栗毛色の髪に整った顔のスカジャンを羽織った若者。
ただ彼の手には鉄パイプが握られている。
ーー止まったら殺される!
男の足がさらに速まる
一つ目巨人の眠る地で
「準備はいいか?」
「ああいいよ」
遠くから馬蹄の音が聴こえる中、
俺の問いかけにグレイの髪を風にたなびかせてエルフの女が応じた。美しい顔にはしる傷痕を笑みで歪ませながら。
俺たち二人の冒険者は荒野にいた。辺り一面、赤茶けた土に覆われた地面が延々と続く不毛の地。
そこにひとつ巨大な骨が鎮座している。かつてこの地に棲んでいた一つ目巨人のものだ。通りがかった旅人を喰らっていたこの
巨人はある英雄
おれは殺し屋じゃない
「じゃああなたは本当に殺し屋じゃないんですね」
「何度も言わせるな。俺は殺し屋じゃない」
村民の憩いの場、いきいきふれあいセンターまがつの一角で場違いな会話を交わす。
のどかな村だと思っていたのに殺しの依頼ときた。
事実、俺を殺し屋と間違えて接触してくる馬鹿は結構多い。
真臥津村で仲介役として出迎えたのがこの男。彼が口にしたのは現職の村長より、次の村長選の対立候補を暗殺して欲しいとのことだった。
金なし職なし彼女なしスーパーパワーはあり
ふわり、と重力の軛から離れた感覚がする。
俺は今から宙に浮く。別に特別なことではないし割りかし頻繁にやっていることだ。
徐々に高度を上げていくと次第に視界に映る外界の建物や人がどんどん小さくなっていく。
今、俺の体は廃ビルの屋上からすっかり離れた遥か上空にある。
この浮遊感に体を委ねる度に、俺は俺自身のどうしようもなさを忘れることができるんだ。
空から見た街の景色は美しいものなのかは乏しい俺の
ヤクザvsアンデッドヤクザ
ヤクザになんてなるんじゃなかった。
地面に突き刺したシャベルの足掛けに体重をかけながら、俺は零細ヤクザ黒沢組に入ってから何度目かの後悔をしていた。
ここはヤクザの死体遺棄の聖地、通称ヤクザノモリ。
カタギのように真っ直ぐと伸びる木々とは対照的に空気は重たくあまり長居をしたい雰囲気じゃない。
まだ膝ほどの深さにも達していない穴から目をそらし、傍らのブルーシートを見る。
そこには事務所の金に手を出し