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逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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小説の冒頭800文字でCORONAを勝ち取れ。ダイハードテイルズが主催するパルプ小説の祭典、「逆噴射小説大賞2019」のエントリー作品収集マガジンです。だいたい1日1回のペースで…
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#小説

超密着!世界ランタンロイヤル

超密着!世界ランタンロイヤル

 我が魂は年一度ハロウィーンの夜に甦る その時地上で最も強大なジャック・オ・ランタンを産み出した者の願いを叶えて進ぜよう

 ジョン・バンボギンが死んだ、その暴力と異能を以って世界を牛耳る鬼子は腫瘍で呆気なく逝った。均衡は崩れ、世のアウトロー共は彼の遺言に野心を駆られるのだった。

 それから始まった世界ランタンロイヤルも今年で52回目、今回も我々取材班は独自に注目した選手達に密着取材を試みた。

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ナガヤマ・カイジュー・ディフェンス社「ジェットセイバーⅤ」墜落事件

ナガヤマ・カイジュー・ディフェンス社「ジェットセイバーⅤ」墜落事件

 全長50mを超える巨大な怪獣が、住宅を、電柱を、自動車を、総てを圧し潰しながら歩みを進める。立ち向かうのは、上半身が緑、下半身が黄色に塗られた、全高10mほどの人型ロボット。サイズの差を物ともせず果敢に挑みかかるロボットだが、怪獣が吹き出す暴風に押し返され、有効な攻撃が与えられない。

 もはやあの怪獣を止めることは出来ないのか。人々がそう思った矢先、赤、青、紫で構成されたロボットが雲中から猛然

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弾除けの加護

深々と急所に刺したナイフを男から急いで引き抜く。その間にも背後で盾にしているテーブルへ銃弾が突き刺さる。
周囲を確認すると、右側から1人回り込んできていた。
そいつと俺がトリガーを引いたのはほぼ同時。『今回も』相手の銃は俺を逸れていく。そして俺の弾も『いつも通り』狙いを外れる。

男の胸を狙って撃った3発の弾は、壁に穴をあけ、テーブルのグラスを割り、そして腿を打ち抜いた。まずまずの成果だ。男は体勢

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月の光が人を焼く

月の光が人を焼く

 私を縛る縄が痛いけど、舌の感覚もなくなったから言えなかった。
 殴られすぎて頭がパンパンに膨れてぼーっとしてきた時、事務所のドアが開いた。
「待たせたな」
 とても背の高いムキムキな黒人が入ってきた。私の首なんか簡単にもぎ取れると思う。
「おっ、ゴリラケーキ。よく来たな」
 チビハゲが血だらけの革手袋を床に放って言った。
 黒人は私に近づいた。顔をじっと見てから、私の涙を拭った。殺しに慣れた人の

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或人形之足跡(アルヒトガタノソクセキ)

或人形之足跡(アルヒトガタノソクセキ)

広漠とした荒野
普段ならば道を急ぐ商人が通るやもしれぬが今は誰も通りはしないだろう。
そう…荒野を埋め尽くす突き立った矢の海を歩きたがる者などそうはいない。
何があったかは分からぬ。
もしかすれば災害を招く巨獣を迎え撃つためだったのかもしれない。
だがそれらしきモノの姿もなく荒野にはただ矢のみが突き立たるのみだ。
何かの災厄を徹底的に封じるかのように隙間なく矢は荒野を埋め尽くしていた。
時が過ぎ鏃

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木霊のエルフに施す薬

木霊のエルフに施す薬

暑い。坑道に足を踏み入れた途端にむっとした熱気がルメの頬にあたった。緩く下って行くにつれてそれは顎から汗を滴らせた。持参のカンテラを巡らせれば黄色く滑らかな岩肌ばかりが目に入り、輝石の欠片も見当たらない。

「この辺は全部採り尽くしちまった」

先を進む案内人が呟いた。”木霊のエルフ"らしくツルハシを背負い、終生鋏を入れることはないという翡翠にも似た髪の間から覗く背中は、松を思わせる鱗状の樹皮に覆

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プライスシティ・ウォー

プライスシティ・ウォー

 「やはりヒック、殺すしかないと思うのだがウィーック」

 今期の自治会会長、全身にぶら下げた輸血パックから直接血管に酒を流し込んでいる男、泥酔酒屋のガルゴールが漏らした。

 「賛成」「そうだな」「やっちまおう」「よし、殺そう」

 全員が口々に同意し、顔のど真ん中にバカでかい口だけがある異形肉屋のハルズマンが立ち上がると、拘束されていたヴィールス・カンパニー営業の首を肉切り包丁で切り落とした。

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お絵かきをやめて

 寝て起きたら、俺は子供が描いたクレヨン絵みたいな世界にいた。
 助けて欲しい!
 ここはどこ、というか何なんだこれは!?
 誰か、俺が見えるか?
 この声が聞こえたら返事をしてくれ。
 誰かいないか?これはいつ終わる?

 断じて俺はドラッグなんて手を出してないし、心の病気も患っちゃいない。
 いや、ひょっとしたら俺の精神はもう壊れてしまったのか?今は自信がない。
 とにかく視界の全てがクレヨ

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ゲート・ブレイカー 第一話「破門」

ゲート・ブレイカー 第一話「破門」

「ハチコ、戻ったぞ」

門関連犯罪対策特別捜査隊と書かれた扉を開き、小柄な女性が入ってくる。黒髪のポニーテール。勝ち気な瞳。

「ナナミ先輩、平気なんスか。さっきの現場で派手にフッ飛ばされてましたケド」

長身の男が立ち上がり、心配そうな視線と声を寄越しながらバタバタと駆け寄ってくる。不潔な訳ではないが、ボサボサとまとまりのない栗毛。眠そうに下がったタレ目。対照的な二人組である。

「アタシは軽い

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ある作家の試練

ある作家の試練

ジリリリリ、ジリリリリ。

一ヶ月に一度鳴るか鳴らないかくらいの電話のベルが鳴った。
ここはオフィス、と呼ぶには畏れ多いくらい散らかったオレの仕事場だ。仕事なんてここ数ヶ月していないが。
デビュー作が百万部売れるという輝かしい功績を達成したものの、それ以降はなかずとばず。生活は、泣きたい飛んでしまいたいほどの散々な有り様だった。そんな底辺のオレに人生を変える電話がかかってきた。

「はい」十回目く

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聖なる寿司殺し〜ザ・キリング・オブ・セイクリッド・スシ〜

聖なる寿司殺し〜ザ・キリング・オブ・セイクリッド・スシ〜

 今日の客は許し難かった。あろうことか寿司のネタだけを食べ、シャリを残したのだ。スシ・ガーディアンである俺がこれを看過出来る筈が無い。カウンター内に設置されている高速リフトから垂直射出された俺はその客の眉間めがけて刺身包丁を投擲した。瞬く間に客の顔面は見事な三枚おろしと化した!

「いやぁいつも助かるねぇ、ゲンさん。また次も頼むよ。」

「いやいや、礼は要らねえよ。これが俺の仕事だからな。」

 

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だるまとお姫さま

だるまとお姫さま

村のはじっこの森の中に、赤くて、丸くて、小さいだるまが住んでいました。
だるまは甘いものが大好き。
特にドーナツ!ドーナツの穴にはまりながら食べるのが大好き!
今日もドーナツをもらいに村までやってきました。

あれあれ、悲しい顔したおじいさん。どうしたのでしょう?「あまい?」
「ああ、だるまか、すまないドーナツはないんだ。兵隊がみんな持っていってしまった。金平糖なら…」「あまい!」

だるまは兵隊

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昭和復活

「いや、めでたい。まことにめでたく、結構なことですな。天皇陛下の御即位の礼なんてものを、生きているうちに見られようとは、ついぞ思いませなんだよ。長生きはしてみるものです。まあ、私にしたって、戦中世代というわけじゃあありませんがね。ええ、生まれてはおりましたけれども。腹も空かせていれば、働かされもしましたが、なに、さんざん小言で聞かされた、戦時の苦労なんてものは、私くらいの年寄りにしても、もうひとつ

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現実、虚構、セルバンテス、そして騎士

「で、マンブリーノの兜ってのは床屋の持ってたタライだったわけですよ」
「へえ、面白い」
「ほんとに面白いって思ってます?」
「うん、面白い、痛い、つつくな」

 ーー2350年、環境汚染は深刻化し、もはや生物は地表に住うことを許されなくなった地球。人類は肉体の充実を諦め、カプセルにその身体を横たえ、仮想空間に精神を据える。この仮想空間に名前は無い。この空間こそが世界だ。

「一つ聞きたいん

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