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#短編小説
転校生は巨獣と微睡む
「グッド・アフタヌーン、吾が友」
目の前にいる、見目の良い男はニヤニヤしながら大仰に両腕を広げる。
長い白髪を一つに束ね、赤いロングコートを着た姿は、漫画に出てくる登場人物めいている。
僕の夢に何度も出てきた男で、顔見知りだ。
夢の中でって注釈をつければ、だけど。
で、今は真っ昼間の午後四時で、僕は下校の真っ最中。
そして、僕は殆どの人間とおなじで、映画と違って夢と現実の見分けく
エスカレーターGERO
★吐しゃ物の表現がありますので、ご注意ください。また、お仕事がつらい方は、ご遠慮ください。
(ここから本文)
私が通勤に使う地下鉄の駅には、地上に向かう長いエスカレーターがある。今日も、地下鉄を降りると、いつものように、このエスカレーターに乗った。乗客はみな左側の手すりを持ちながら、お行儀よく並んでいる。前を見ると、先頭に学生がいて、じっとして歩こうとしない。右側を追い抜いていくものもあるが、
死神の作るメシがうまい
「”切り裂き魔”ではないな」
ホワイトボード一面に貼り付けられた資料を眺めていた長ヶ部警部の重々しい一言は、静かであったが人が寿司詰めになった室内に響き渡った。
今の今まで凶器の違いや、犯行時刻の関連性を議論し合っていた部下達は互いに視線を交わし合った。
長ヶ部警部だけが、”切り裂き魔”と唯一相対し、凶刃に晒されて、なお生き残り、復職を果たした人間に他ならない。
殺し屋専門の殺し屋、
『有権者八百万九十九の独裁』
《ツクモ、起きなさい。賛成六億票の過半数で結審しました。あなたは可及的速やかに起床する必要があります》
「いっけねー!遅刻遅刻!」
激しいキックに叩き起こされた長身の少年が鳩サブレを頭からかじりながら長い坂を駆け下りていく。
「ぐわわっ!!」
点滅し始めた横断歩道に差し掛かった直後に急停止!眼前を猛スピードのトラックが駆け抜けていった。
《ツクモ、信号停止違反及び危険性走行物の接近に
寄生生物Xの優雅なる侵略
俺には一つ誰にも言えない秘密がある。「お帰り、真司君。仕事はどうだったかな?」それは、喋るネズミと一緒に生活している事だ。こいつは随分と愉快な奴なんだが、今日の声色からは何か緊迫した響きを感じる。
「いや、今日もまた怒られちゃってさ…部長のやつも少しの事で起こるようになってきちゃって…大変だよ。」「ふーむ…やはりかい。」ネズミは言葉を続ける。「遂に奴らが侵略を始めたのかもしれない…」この胡乱