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逆噴射小説大賞2019:エントリー作品

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小説の冒頭800文字でCORONAを勝ち取れ。ダイハードテイルズが主催するパルプ小説の祭典、「逆噴射小説大賞2019」のエントリー作品収集マガジンです。だいたい1日1回のペースで…
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#逆噴射レギュレーション

ヴァーディクト・ブレイカー

ヴァーディクト・ブレイカー

日本時間正午をもって、世界主要都市は壊滅、居住者の大半が死亡した。

その日事象として発生したのは、鈍色の骨格無人兵器、白亜の竜種、名状できぬ触手生物、錆色の巨人、腐敗の不死人、未確認飛行物体、奇怪地球外生命体、光なる神霊、異形たる悪魔といった人間の想像力を逸脱した脅威が一度に、出現と同時に人類を強襲した事態である。

一種でも手に余る脅威が、もはや数えきれない程の種別と物量でもって殺意を向けた事

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ウォンテッド!ザ!ヒューマンリソース!

ウォンテッド!ザ!ヒューマンリソース!

銃声、額から血を噴いて後方に倒れる脂ぎった男。もちろん殺ったのは俺。

無駄に広いオフィス応接室でビズの話を持ちかけられた俺は、迷わず乞食の豚野郎を射殺した。何故かって?

「一日平均稼働20時間で日収1000万、しかも通貨単位がロジじゃなくドルだぁ?そんなもん今時鼻もかめねぇ電子クズだろうが」
「ででででもそこを人材連れてくるのがあんたの仕事じゃ!?」
「ちげぇーよ死ね」

再度銃声、こめかみに

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偶像剣聖殺人事件―都市警吏ヨルカンの憂鬱―

偶像剣聖殺人事件―都市警吏ヨルカンの憂鬱―

 《剣聖》アルビム氏が秋季15日目、衛星都市「イズキリー」の宿泊先で殺害された。享年64。
 アルビム氏は二十代にして新興パーティを率い、各地ダンジョンを踏破。王歴653年大戦序盤では、パーティメンバー三人を失いながらも敵将《金剛妖僧》アダマントラの首級を上げ、その功績から戦時中には異例の叙勲を受けた。大戦後は王国配下騎士団へ入団、668年以降に頻発した隣国ジュナーンとの紛争でも活躍し、騎士団三番

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多次元交差ディメン・ジン

多次元交差ディメン・ジン

 万華鏡を覗き込んだことを思い出した。小さな穴を覗き込むと、想像もしないような微細な線と面、色と光の世界に包まれる。筒をひねると世界は回転し、目が回るようだった。

 ■

 先輩は銃を抜こうとした。その姿勢のまま、千の線と百の色に寸断された。血漿と肉が製材コンベアの上に落ち、錆鉄と廃材を汚す。暗闇の中で万華鏡のように煌めく怪物は、先輩をいまだに放さない。無数の足のような器官で残骸を捉えたままだ。

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スレイ・ザ・デモン

スレイ・ザ・デモン

『良いかい軍曹?デモンを殺せるのは君の機体に搭載された概念干渉ブレードだけだよ、今の所ね』
「ブリーフィングで既に聞いた。黙ってろ」

全身に鋼色の装甲をおった騎士……否、鋼鉄の巨人は静かに降りしきる雨が泥を育てては押し流す、崩落したビルのガレキが形作る巣の中に足を踏み入れる。足の踏み場も危ういほどに、辺りには丸くうつろにくり抜かれた戦車や武装ヘリの残骸ばかりが散らばっていた。

『これは君の命に

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圧制者と被管理市民と人工知能の御名において

圧制者と被管理市民と人工知能の御名において

「15年前、国家主席の延命手術が成功したのと同時に計画ははじまった。『電子的国家運営のための補助対策事業』。役人共はデンホって言ってる。それが、そうだ」

 中年は血管の浮き出た指を相棒に向けてきた。布のような重い長髪で顔面を覆い、ボルトとナットが目立つ手甲具足姿の相棒は何の反応も示さない。

「その年以降に生まれる全ての子供。その遺伝情報を国民管理システムたる人工知能フォンシェンに登録することで

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冥竜探偵かく記せり

冥竜探偵かく記せり

被害者は雷竜、性別は雄、年齢は今日で五百才になるはずだった。
死因はそう、まるで東方で作られるというチクワの如く、全身が輪切りにされた事によるものだ。

「彼の生誕を祝いに来たらこれとは何と因果な……」

私は自身の黒曜石の如く艶めく分厚い鱗を軋ませながら、二人で食べるはずだった甘酸っぱい竜珠果のケーキを彼の遺体の前に備えると静かに黙祷する。

「ケーキは私一人には幾分多いが致し方ない、後程一人で

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シッターズ!

シッターズ!

「もう、無理」

 硝子片が飛び散るビルの陰で那太郎は座り込んだ。日の差す表通りは炸裂音と、敵の外皮がそれを弾き返す衝撃音で満ちている。

 打ち上げ花火にも負けぬ轟音を切り裂いて、渦彦の怒声が届いた。

「那太ァ!もう一度だ!」
「もう無理だよぉ!!」

 負けじと那太郎が泣き返す。

 大通りには全長100数十mの大肉塊がのたうっていた。繊毛のような密な触手で己の身を支えるポリプ状の蚯蚓。それ

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マグマに咲く花

マグマに咲く花

 星が落ちて3輪後。その方角から、天を照らすほの明るい赤が目立つようになった。それは井戸が放つ色とそっくりで、ぼくは星が大地に穴を開けて井戸を掘ったのだと考えた。やがて村長たちも同じ結論に達したらしい。井戸のほとりに立つ茶岩積み造りの集会所に旅人が集められ、旅程計画がはじまった。

 大昔にも似たようなことがあったらしい。身記によれば3代前のことだ。空から星が落ちてきて騒音があたりを満たし、数輪の

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アバタール・イリュージョン

この世界で、ちゃんと人間の姿形をしている存在を見ると安心できる。
ディテールが省かれた電脳仮想空間内のバーで、隣のカウンター席に座った一抱えほどのアワビを見て自分は痛切にそれを感じた。

「となり、よろしいですかね?」
「ドーゾ」

順番が逆な気もしたが、かといってそれを主張するのも狭量であると考えなおせば、深く気にせずに隣のうごめくアワビの問いかけを鷹揚に流す。

このでっち上げの仮装世界でどん

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