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逆噴射小説大賞2020応募作品収集マガジン

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2020年10月に「第3回逆噴射小説大賞」を開催します

“おれがこれから始めようとしているのは、予測変換やAIの力が及ばない世界、つまり血肉が通っ…

メルヒェンの獣

 ベルリンの寒い夜、大学病院に現れた青年は血まみれの妊婦を抱えていた。 「助けてくれ! 妻…

決戦街トーキョー

 ヒリつくパルスが神経を走り抜け、巨大な脳髄の中でハルトは吠えた。なぜならそれは、失われ…

ウィンチェスター・ウィッチクラフト

 両手の小銃が立て続けに二度、小気味良い音を奏でる。  自ら銃を手に取る事は久しいが、や…

1年前

それだから俺は、夏を殺し続けるのだ

これは、愛の物語だ。 <1998年7月 S市 路地裏 72人目>  握りしめたスパナを振り下ろ…

熱になった故郷

 顔に被せられた白い布を振り落とし、彼は起き上がった。磁器のように固く冷たかった瞼が今は…

簒奪者の守りびと

「王太子。召し上がっていただけませんか。わずかでも」  ベッドに腰掛ける少年の顔は青白い。今朝もメディアは新王を讃える映像を流している。 「朝食をか? そのようなこと、お前らを喜ばせるだけだろう。だいいち私のことを王太子などと呼ぶな」 「では、どのように?」  少年は立ち上がる。 「廃王の子とでも呼べ」  俺は言い返そうとしたが中断せざるを得なくなった。少年は予想外の素早さで窓辺へ移動し、その華奢な両手でカーテンを開いたのだ。 「ばか野郎!」  ガラスに穴が空き、心

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カルニアデス・ラヴァーズ

「どうか、私を喰らってください」 「出来ない」 夏の日差しが届かない路地裏にて、二人は断…

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ 来月末までに10億ドル用意されたし さもなくば、全人類を殺す 準備出来次第、署…

1年前

遺忘のナヴィガトリア

 高度100km、カルマンライン。天獄と地国のあわい。希薄な大気故に昼でも空は黒い。天獄から…

1年前

トライリンガル・ケースファイル

「大丈夫、慣れてますから」 不本意だけど。そう言って僕は支配人の遺体を調べる。悲鳴を受け…

1年前

終星のアラバスター

西暦20XX年!人類は恐ろしき脅威と対峙することとなった! 日本、東京に突如として現れたUFO…

『魚籃坂復仇探偵社:テレワーク殺人事件』

2020年4月某日、東京都港区、深夜。 定宿のAPAホテルから仇討縁起で有名な泉岳寺へ向かうとガ…

花冠を掲げるアラディア

櫛本朔治さま 櫛本佐和子より お返事が遅くなり、すみません。年度末はお互いに忙しくて参りますね。このときほど事務仕事が嫌になることはないです。 さて。このあいだ言っていた神学校の件ですが、姉さんは賛成です。神様のことでどんなお勉強をするのか、あたしには想像がつかないけど、何かを学びたいと思うのはとても善いことです。 あたしからも報告があります。同じ営業所の運転手の方に、結婚を申し込まれました。ママのお葬式のときにご焼香にいらしたので、たぶん顔を見ればあの人だとわかると思います

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静寂なる殺意の空転

カチ、カチ、カチ。 秒針の音が響き渡る。現在時刻は早朝の4時。まだ用意された客室から抜け出…

1年前