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逆噴射小説大賞2020応募作品収集マガジン

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2020年10月の記事一覧

メルヒェンの獣

 ベルリンの寒い夜、大学病院に現れた青年は血まみれの妊婦を抱えていた。 「助けてくれ! 妻…

88

決戦街トーキョー

 ヒリつくパルスが神経を走り抜け、巨大な脳髄の中でハルトは吠えた。なぜならそれは、失われ…

71

ウィンチェスター・ウィッチクラフト

 両手の小銃が立て続けに二度、小気味良い音を奏でる。  自ら銃を手に取る事は久しいが、や…

とう腐
3年前
66

それだから俺は、夏を殺し続けるのだ

これは、愛の物語だ。 <1998年7月 S市 路地裏 72人目>  握りしめたスパナを振り下ろ…

64

熱になった故郷

 顔に被せられた白い布を振り落とし、彼は起き上がった。磁器のように固く冷たかった瞼が今は…

35

簒奪者の守りびと

「王太子。召し上がっていただけませんか。わずかでも」  ベッドに腰掛ける少年の顔は青白い…

71

カルニアデス・ラヴァーズ

「どうか、私を喰らってください」 「出来ない」 夏の日差しが届かない路地裏にて、二人は断絶した。 一人は暗緑コートの男、もう一人はくせの強い白銀髪に青黒ゴスの少女。 男のコートは所々破れ、黒い血に塗れていた。 「私が貴方を助けた事が、そんなに大事ですか?」 「ああ、なにより……!」 無眼黒竜が少女の右を行き過ぎて、背後に迫った悪漢を食い散らした。 竜は、男の右腕だった。少女は自身を抱きしめて、震える。 「こんなんでも、心まで化物になったつもりもないんだ、俺は」 「貴方

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ 来月末までに10億ドル用意されたし さもなくば、全人類を殺す 準備出来次第、署…

ドント
3年前
65

遺忘のナヴィガトリア

 高度100km、カルマンライン。天獄と地国のあわい。希薄な大気故に昼でも空は黒い。天獄から…

居石信吾
3年前
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トライリンガル・ケースファイル

「大丈夫、慣れてますから」 不本意だけど。そう言って僕は支配人の遺体を調べる。悲鳴を受け…

◆TAI2.kX92w
3年前
25

終星のアラバスター

西暦20XX年!人類は恐ろしき脅威と対峙することとなった! 日本、東京に突如として現れたUFO…

『魚籃坂復仇探偵社:テレワーク殺人事件』

2020年4月某日、東京都港区、深夜。 定宿のAPAホテルから仇討縁起で有名な泉岳寺へ向かうとガ…

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花冠を掲げるアラディア

櫛本朔治さま 櫛本佐和子より お返事が遅くなり、すみません。年度末はお互いに忙しくて参り…

高野優
3年前
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静寂なる殺意の空転

カチ、カチ、カチ。 秒針の音が響き渡る。現在時刻は早朝の4時。まだ用意された客室から抜け出てくるものはいない。”私”以外は。 カチ、カチ、カチ。 ”私”は食堂に備え付けられた柱時計の前に立つと、音を殺しながら時計の扉を開いていく。 揺れる振り子の奥に鈍く光るのは、ボウガンの矢。”私”が仕掛けた、絶対非情の殺意を込めた嚆矢。 ”私”は息を整えると慎重にボウガンの根元に括りつけられた糸を切った。プツンと音を立て、時計の歯車と連動した仕掛けは意味を失った。 後はこの矢を回収すれ