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逆噴射小説大賞2020応募作品収集マガジン

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#ファンタジー

2020年10月に「第3回逆噴射小説大賞」を開催します

“おれがこれから始めようとしているのは、予測変換やAIの力が及ばない世界、つまり血肉が通っ…

『ロングソードの返済者』

「私、魔具にもならねえよね」「黙れ」 「あとどれだけ話せる?」「俺を泣かせるのはやめろ」 …

ばぷる
4年前
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奇跡は砂になりて

 かつて、この世界には「ほんもの」の神様がいたらしい。  らしい、というのは、私は神様を…

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アストロマジシャンズ・リベンジ・アンド・ザ・マスカレイド

宇宙空間に漂う瓦礫の中で、4800億年ほどうごめき続けている者がいた。純白に輝く彼/彼女は、…

Ebi
4年前
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竜と私と500の死体

 私を買ったのは〈竜〉の屍操術師だった。  竜というのは奥義を極めた魔術師に対する尊称で…

居石信吾
4年前
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魔術師は呪詛を殺す

 6世代前は626人いた魔術師のうち、現在まで生き延びた者は6人だった。これは驚くべきことで…

lizardfolk
4年前
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白狼の子たる修道女

 農夫の胸の裂傷はひざまずく修道女の祈りによって光につつまれ、致命のものではなくなりつつあった。たおやかに組まれた祈りの手は魔物の血にまみれている。 「もう大丈夫です。あとは自然に治りますよ」  修道女レイチェルは耳にかかった金糸雀色の髪をかきあげて、微笑んだ。  通りがかりの修道女の奇跡の御業に、村人たちはざわついた。農夫をふくめ、感謝の意を述べる者はいない。悪意でなく、戸惑いゆえだ。  レイチェルは立ち上がった。長老が手を伸ばした。 「あ、あんた、どうなさる」

白薔薇園の呪われし氏族(Eduard in curced familiar)

3つ目の白薔薇の生垣を、エデュアルド・ヒュスカークは乗り超えた。 屋敷を取り囲んでいた白…

京都府京都地下都市迷宮通下ル

 ラットハンターは手にした10ゲージポンプアクションショットガンを下ろすと、体長1.8メート…

lizardfolk
4年前
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そして北に十三歩

 土埃が霧のように舞うほどの土砂降りに、荒野の枯れ木など庇にならない。  だからその枝に…

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仇よ、さらば

 かつて屠龍姫と黒獅子公が戦った古戦場に、ネクロマンサーの軍勢が集結していた。主力はゾン…

残機99のスワンプマン

 魔王の指先から、鋭い稲光が走る。  それは光線となり、狙い違わず俺の体を撃ち抜いた。  …

gm-rikusen
4年前
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朝露と土がねむるまで

 近辺の魔術師が《至宝の森》とよぶ地の大樹から、少女の形をしたものが零れ落ちた。浅い泉が…

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感情回廊

「はい、お仕事、完了、っと」  私は脳漿を散らして血溜まりに沈む女性の手を取り、その小指を一本切り取る。細く綺麗な指だ。もし私が女だったら、こんな女性になりたかっだろうな。そんな女性にとって憧憬の的に成り得る雰囲気を、彼女は持っていた。過去形だ。死んだ彼女に憧れる女性はいないだろう。 「指を一本、貰っていくね」  依頼完了の証として必要だから。 ※  心をどこかに落としてきたね――。  依頼主に証拠を渡し完了した報酬として得た金は翌日を待たず、夜闇とともに消えてい