トリガーハッピー症候群《シンドローム》
血溜まりから拾った拳銃から、ボタボタと血が滴る。拭わぬままに、それを目の前の男に向ける。
「お前も撃ちたいのか? その男みたいに」
男は無表情に尋ねる。
私の傍らには、先ほどまで私の持っている銃を握っていた男が血だまりの真ん中に横たわっている。
「う、撃ちたかないさ。けど撃てって頭の中で声が響くんだ。アンタを撃って殺しちまえって」
私の声はガタガタと震えていて、みっともない。
「お前も感染したのか」
男は溜息を吐く。
「だっ、だったらどうなんだ?」
「今日死ぬ人数が