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逆噴射小説大賞2020応募作品収集マガジン

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#小説

2020年10月に「第3回逆噴射小説大賞」を開催します

“おれがこれから始めようとしているのは、予測変換やAIの力が及ばない世界、つまり血肉が通っ…

決戦街トーキョー

 ヒリつくパルスが神経を走り抜け、巨大な脳髄の中でハルトは吠えた。なぜならそれは、失われ…

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ウィンチェスター・ウィッチクラフト

 両手の小銃が立て続けに二度、小気味良い音を奏でる。  自ら銃を手に取る事は久しいが、や…

とう腐
4年前
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それだから俺は、夏を殺し続けるのだ

これは、愛の物語だ。 <1998年7月 S市 路地裏 72人目>  握りしめたスパナを振り下ろ…

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熱になった故郷

 顔に被せられた白い布を振り落とし、彼は起き上がった。磁器のように固く冷たかった瞼が今は…

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簒奪者の守りびと

「王太子。召し上がっていただけませんか。わずかでも」  ベッドに腰掛ける少年の顔は青白い…

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カルニアデス・ラヴァーズ

「どうか、私を喰らってください」 「出来ない」 夏の日差しが届かない路地裏にて、二人は断絶した。 一人は暗緑コートの男、もう一人はくせの強い白銀髪に青黒ゴスの少女。 男のコートは所々破れ、黒い血に塗れていた。 「私が貴方を助けた事が、そんなに大事ですか?」 「ああ、なにより……!」 無眼黒竜が少女の右を行き過ぎて、背後に迫った悪漢を食い散らした。 竜は、男の右腕だった。少女は自身を抱きしめて、震える。 「こんなんでも、心まで化物になったつもりもないんだ、俺は」 「貴方

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ 来月末までに10億ドル用意されたし さもなくば、全人類を殺す 準備出来次第、署…

ドント
4年前
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遺忘のナヴィガトリア

 高度100km、カルマンライン。天獄と地国のあわい。希薄な大気故に昼でも空は黒い。天獄から…

居石信吾
4年前
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終星のアラバスター

西暦20XX年!人類は恐ろしき脅威と対峙することとなった! 日本、東京に突如として現れたUFO…

『魚籃坂復仇探偵社:テレワーク殺人事件』

2020年4月某日、東京都港区、深夜。 定宿のAPAホテルから仇討縁起で有名な泉岳寺へ向かうとガ…

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花冠を掲げるアラディア

櫛本朔治さま 櫛本佐和子より お返事が遅くなり、すみません。年度末はお互いに忙しくて参り…

高野優
4年前
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静寂なる殺意の空転

カチ、カチ、カチ。 秒針の音が響き渡る。現在時刻は早朝の4時。まだ用意された客室から抜け出…

じょう
4年前
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『ロングソードの返済者』

「私、魔具にもならねえよね」「黙れ」 「あとどれだけ話せる?」「俺を泣かせるのはやめろ」 もうギュミとは喋れない。今や俺だけがお尋ね者だ。 この街だけじゃなく、トゥードラ大陸全体で。首、回る訳ねえ。 少し遡る。 取り立て人の俺たちは、政界のドン、かつての勇者の大豪邸を訪れた。 「借りたもんは返してもらうぞ」 プールサイドで侍女に囲まれ、肥えたそいつが怪神殺しの伝説の男。 「明日の地租で払うよ、待って」 「明日が良いなら今日でも変わらん」 「うるさい!誰に口を!」 雷撃、落