マガジンのカバー画像

逆噴射小説大賞2020応募作品収集マガジン

656
運営しているクリエイター

#SF

2020年10月に「第3回逆噴射小説大賞」を開催します

“おれがこれから始めようとしているのは、予測変換やAIの力が及ばない世界、つまり血肉が通っ…

決戦街トーキョー

 ヒリつくパルスが神経を走り抜け、巨大な脳髄の中でハルトは吠えた。なぜならそれは、失われ…

71

熱になった故郷

 顔に被せられた白い布を振り落とし、彼は起き上がった。磁器のように固く冷たかった瞼が今は…

35

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ 来月末までに10億ドル用意されたし さもなくば、全人類を殺す 準備出来次第、署…

ドント
3年前
65

遺忘のナヴィガトリア

 高度100km、カルマンライン。天獄と地国のあわい。希薄な大気故に昼でも空は黒い。天獄から…

居石信吾
3年前
50

燦然たる断片

朽ち果てた機動兵器の残骸で弾幕をやり過ごしながら、俺は傍の肉塊に目をやる。陸軍の兵士。吹…

58

星追い人

星追い人って知ってるかい? 星追い人はね、ほうき星の子供を追いかける人なんだよ。 流れ星を追いかける流れ星を見たことあるかい? その流れ星はね、ほうき星の子供を追いかける人たちなんだよ。 星追い人はね、大切な人に、星をプレゼントするために流れ星を追いかけてるんだよ。 「ふーん、今の子供たちはこんな絵本読んでるのか」 10歳ほどの少年は、目の前の操縦桿に足をかけながら、その本を読んでいた。 「おぉいリュウセイ…いくら自動操縦つったってそんな場所に足かけるもんじゃね

真夏のひゅるひゅると、ぐちゃぐちゃ人類

 侵略者がやってきたのは8月の暑い盛り、それも盆休みのただ中だった。  オレがはっきり覚え…

lizardfolk
3年前
40

超銀河超特急殺人事件

 超銀河超特急とは、宇宙に存在する約2兆個の銀河すべてを周回する、超光速宇宙輸送船列の通…

焼きそばを食べる前と後

電気ポットに水を入れ、コードをコンセントに差し込み、スイッチオン。 徐々にポットの中の水…

29

真実は二つ、嘘は一つ

 俺は警官の言葉が信じられなかった。 「真美子が存在しない?」 「事実です。来亜誠さん、…

銀星石
3年前
17

ブラックマンデー

金がすべてを動かしている。 だからオレは毎日せっせと仕事する。仕事はデリバリーだ。注文を…

了ベ
3年前
62

探偵玩具デュエロイド

「なぁ、そこ退いてくれねぇかな」  塀の上。でっぷりと太った白猫を見上げて、オレは立ち往…

27

サイファイ・パンデモニウム

「幽霊って本当にいるのでしょうか?」 カドワキが後ろでアホなことを言った。 「何言ってんだ。仕事中だぞ」 俺は振り返らずに答えた。しゃがんだまま作業を続ける。ああ、カドワキってのは俺の助手だ。 「でも、ここって目撃証言もたくさんあるんですよ。集団ヒステリーにしたって……あるいは、義眼の故障のせいだとしても、おかしくないですか?」 俺はため息をついた。 「なあ、カドワキ。今が西暦何年か知ってるか?人類は何世紀も前に身体を機械化して、火星に旅立った。貧乏人ですら義眼と