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逆噴射小説大賞2023:一次&二次選考突破作品

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小説の冒頭800文字で競う逆噴射小説大賞2023! その二次選考の突破作品集です。■応募要項 https://diehardtales.com/n/n23ff04fae3b4 ■…
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#ハードボイルド

幻獣搏兎 -Toglietemi la vita ancor-

 「やめた方がいいよ」  隣を歩く少女は、そう言って顔を覗き込んできた。長い金髪が揺れる。  クリスマスの夜。大通りは、カップル達で溢れている。  行き交う人の中で、少女の姿は浮いていた。バニースーツを着ているのだ。どう考えても屋外で着る服ではないだろう。  だが、通行人達が彼女に目を向ける事はなかった。  何故なら、彼女は俺が脳内で作り出した幻覚だからだ。 「向いてないよ、蓮には、殺し屋とか」  幻聴。この言葉も、俺にしか聞こえない。  少し前から視える様になった、スト

罪人どもの街

 カバン片手にだだっ広い駅のホームに降り立つと、独特の臭いが鼻をついた。  煤と鉄の臭い。強い酒と焼けた肉の臭い。  火の臭い。  ドワーフの街の臭い。  駅の公衆電話で先方に連絡を入れた。交換手は少しもたついたが、それでもすぐつながった。夜も遅かったが先方はまだ起きていた。私は街に到着したことを告げた。  今日はもう遅いですから、会うのは明日にしましょう。場所とお時間はそちらにお任せします。私は〈コクランの巻鬚〉亭に宿を取っています。  私がそう言うと、先方は、そちらの食堂