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冒険には危険が付き物だ。だからこそ、彼女の仕事も尽きない。 「こちらシリス。目標地点に到達しました」 「了解、対象はそこでロストしている」 シリスは、自らを覆う手足の付いた棺を立ち上がらせる。そしてコフィンが背負うのもまた、棺だ。これが、彼女の仕事だ。 場所は、現代にはない意匠が彫り込まれた遺構。近年一夜にして、こつ然と発生した山に発見された迷宮。未探査の遺跡とあってこぞって冒険者達が押し寄せた。その後は、この通り。 コフィンの眼を通して、シリスは辺りを探る。
ふらふらしていた俺が故郷に戻ったのが二年前。 実家の祖父と土蔵掃除を始めたのが三時間前。 いま俺はダンジョンに潜っている。横にはファンタジー世界から来たエルフ。俺が腰に差しているのはファンタジーから流出した魔剣グラム。 土蔵の真下にダンジョンが生じたというのは笑い話だが、現実に家族を害したとあれば話は別だ。グラムは祖父の魂を食い本人は昏睡状態で寝ている。 経緯はこうだ。掃除を始めたところ、箱からグラムがこぼれ落ちた。魔剣は俺の心臓めがけて射出され、横の祖父が