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歌舞伎町の路地は、雨と吐瀉物の臭いに満ちていた。八崎芽愛が歩くたび、ピンクのハーフツインが揺れる。 「はぁっ……はぁっ……」 目の前を女が駆ける。楓牙の担当だった6人の被り客のひとりだ。 八崎が女を蹴り飛ばす。ビールケースの山が崩れた。 「綾だね」 「アタシ、知らないよぉ……」 フリル付きのシャツの袖から、綾が手を伸ばす。 八崎が手斧を振った。【4】と彫られた刃が閃き、綾の両腕が飛んだ。 「迷路使いが」 「ぐひっ」 倒れかかった綾の髪を掴み上げる。 「嫌ぁ……」