謝肉祭のモンド -Mondo Carnevale-
瓦礫の街。野営地を見下ろす丘の上。爆撃で崩れかけた教会の残骸。
「――サン・サーンスより、死の舞踏」
イヤホンの向こうから、ラジオの音楽が聞こえてくる。
「ステイですよ、坊ちゃん」
無線で諭す女の声。女の背後で響く優雅な管弦楽の旋律。少年・モンドは吐き気を堪えた。瓦礫の裂け目に寝そべり、分隊支援火器を十字架のように抱えて、照準眼鏡ごしに彼が見下ろす野営地は、酒池肉林の大騒ぎだった。
「貴方の撃つべき敵を忘れないことです」
捕虜の片腕が生きたまま切断される光