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逆噴射小説大賞2023:一次&二次選考突破作品

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小説の冒頭800文字で競う逆噴射小説大賞2023! その二次選考の突破作品集です。■応募要項 https://diehardtales.com/n/n23ff04fae3b4 ■…
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八崎は血となり灰となり

 歌舞伎町の路地は、雨と吐瀉物の臭いに満ちていた。八崎芽愛が歩くたび、ピンクのハーフツインが揺れる。 「はぁっ……はぁっ……」  目の前を女が駆ける。楓牙の担当だった6人の被り客のひとりだ。  八崎が女を蹴り飛ばす。ビールケースの山が崩れた。 「綾だね」 「アタシ、知らないよぉ……」  フリル付きのシャツの袖から、綾が手を伸ばす。  八崎が手斧を振った。【4】と彫られた刃が閃き、綾の両腕が飛んだ。 「迷路使いが」 「ぐひっ」  倒れかかった綾の髪を掴み上げる。 「嫌ぁ……」