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逆噴射小説大賞2021:1次&2次選考突破作品

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第4回「逆噴射小説大賞」の一次選考、および二次選考突破作品がまとめられています。レギュレーションはこちら!最終結果発表は2月末頃を予定しています!: https://diehar… もっと読む
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#SF

少女奔走要塞学校

少女奔走要塞学校

 わたしはリクソウさんを追い越し、高射砲横の白線に立つ。日差しが強い。日傘を持参したほうが良かったかもしれない。

「リツちゃん、足速いね」とリクソウさんがいう。非番なので私服だが、素朴な感じが良い。「部活入ってる?」

「帰宅部で……でも、お弁当、作ってきました!」とわたしはいう。川沿いのベンチに到着すると、おにぎりとウインナーを広げる。遠くには墜落したアレクシーの残骸が残っていた。

 地球上

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Escape The Zone

Tips
⇒誰もZONEから逃すな

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Tips
⇒ゾーンとは集中力が高まり、感覚が研ぎ澄まされた状態をさす

 >Rookie、フラグ回収!防衛に回れ!

Enter The Zone。いま世界で最もアツいFPS。
俺達プロゲーマーらによる大会が毎月開かれる程だ。
30秒。このまま俺がフラグを持っていれば5人で賞金1000万ドルの山分けとなる。

 >Rookie、

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月面コンビニ事故物件

月面コンビニ事故物件

月に人間が住みだした経緯についてはWikipediaでも見てほしい。そこには住みだしたものの月の不便さにあっという間に過疎った経緯も書かれているはずだ。
デイリーヤマギシ モスクワの海店は今日も客がこない。その上、事故物件なので出る。
今だってヘルメットの残骸を頭に引っかけた黒焦げの人影が店の中をうろうろしている。

ほんの数年前、ここモスクワの海にポリミテ星人の船が軌道計算の誤りで墜落した。もち

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そこに眠るのは君か

そこに眠るのは君か

俺は、ついに辿り着いた。世界の果てに。

そして絶望していた。

足元にはここで力尽きた旅人の白骨死体が転がっている。
どのくらい前に死んだのだろうか。と言っても、ここでは時間などまるで意味を成さない。

こんな所でお前はいったい何を見たかったんだ。



話は今から八年前に遡る。
俺はベルタウンで雇われ用心棒をしていた。

世界で一番の治安の悪い街だ。仕事には困らなかった。

そんなある日、裏

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月竜を喰む

月竜を喰む

 アポロ計画は地球に月の石を、月には竜を齎した。

 かつては賑わった月面牧場も、宇宙開発事業縮小の波には抗えず最早人間の従業員は私一人。
 ここ「静かの海牧場」で飼育されている動物はただ一種。
 竜である。

 緑竜が月の砂を食んでいる。砂に吸着したヘリウム3と月の魔力を取り込んでいるのだ。
 私は竜飼いの杖を用いて放牧に出されている竜を厩舎へと誘導する。微弱な電波と魔力に釣られ、竜達は故郷と比

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