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逆噴射小説大賞2021:1次&2次選考突破作品

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第4回「逆噴射小説大賞」の一次選考、および二次選考突破作品がまとめられています。レギュレーションはこちら!最終結果発表は2月末頃を予定しています!: https://diehar… もっと読む
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#逆噴射小説大賞

屍人と長虫

屍人と長虫

 屍人と長虫。『救世主』の発明によってこの世から消えた2つのもの。死の克服と竜の征伐はヒトに永遠の繁栄をもたらした。一方で福音を与えられなかった流民にとって、この2つは魔法と可能性に満ちた過去への憧憬と革命の期待を託せる最後の象徴である。

 *

 「俺の子にはな、サム。与えられる全てを授けようと思ったんだ」

 寝台の傍らに置かれた椅子。父さんはいつもここに座り僕が眠るのを見届け、その後に

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女王殺しと沼地の怪奇

女王殺しと沼地の怪奇

「皆が貴女を何も出来ない小娘だと思っている、だから―」

 ソフィアは寝台に横たわる病身の母がその言葉の続きを発するのを待ったが、それは永遠に叶わなかった。動かない母の瞳にはまだソフィアの姿が映っていたが、もう何も見えてはいない。

 翌日、母の遺体は金糸の刺繍が施された白布に包まれ、マーシュ家所有の鬱蒼とした森の中にある沼地に沈められた。
 親族と弔問客が見守る中、深緑の水面は天鵞絨がたわむよう

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かつて獣のいた街

かつて獣のいた街

 ひっくり返った車から這い出てきた男は血まみれだった。
 男は道路の真ん中でゆっくりと立ち上がる。身の丈は2メートル近くある。夜の街の中空に躍る立体広告が、男の巨体に緑や紫や桃色を投げかけた。

 車から煙が上がっている。歩道には既に人だかり、写真を撮る者に配信を始める者。「え~今、新澁谷の駅前です! 車が暴走して! マジで大変です!」
 冬。野次馬たちが厚く着込んでいるのに男は半袖にジーンズ。長

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彼岸列車

彼岸列車

「すいません、あの」
 その声で目が覚めた。若い女が、私の顔を覗き込んでいる。
 背と尻に硬いクッションの感触、心地よい定期的な振動。あぁそうだ、俺は終電に乗ったんだと思い出す。ガラガラの車内に座り、そのまま眠ってしまったらしい。

 寝起きのぼんやりする頭を上げると、乗客が四人立っていた。
 先の若い女にスーツの中年男、私服の青年、老婆が、身を寄せ合うようにしている。
 四人の顔には一様に不安げ

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