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もう駄目だと思った。 山奥の廃村でこの男の頭を岩で潰しておしまい。そのはずだった。 …
やりすぎたか。 護衛の依頼を受けての入国。凍死体から衣服を奪う追い剥ぎに襲われ、 咄嗟とは…
鏡に映った男が、昏い目つきで俺の顔を覗き込んでいる。なんて目をしてやがるんだ。まあ、ヤ…
「また、あの忌まわしい『切り裂きジャック』が現れたそうじゃない」 噂話をする貴婦人らを…
──この酒、味がしない。 それに気付いたのは、皿に零した酒を啜った時だった。 半年…
暗闇の中どこまでも木々と静寂が続く林道。どこまで車を走らせても似たような景色が続く。丸…
「シャルナインが死んだ───殺されたんだ。」 シャルナインが死んだ? しかも殺されただって? コイツは何をバカなことを言っているんだ。そんなはずがない。 シャルナインは今をときめくトップアイドルだ。 それが死んだだって? ───あり得ない。こいつは、おれを担ごうとしているのだろう。 「おいおい、馬鹿にするなよ。そんな与太話、誰が信じるかよ」 俺がこの、全身が見るに耐えない、醜い姿に変貌する奇病になってからもう4年になる。 とっくに訪ねるものはいなくなった。
電鉄のストで仕事を早引けした日の夕方だった。 「今日は星雪祭なんだって!」 ただいまよ…
「岸川さん!」 「岸川ァ!」 「てめぇ待てや岸川!」 今や岸川は理解していた。今日は明らかにおか…
異様だった。 街に入った私を出迎えたのは、ひどい鬱のような曇天と、ビビッドカラーの石…
戦場を一陣の風が駆け抜けていく。 その風の名は沙也可(さやか)。 雑賀の沙也可。 …
アイツは最高。しわくちゃミイラでも、乳首とへそが横に並んでも、俺はアイツを毎晩抱く。 …
聖剣が折れた。 刃を魔王の胸に食い込ませたまま、黒い影は腕を振って勇者を振り飛ばす。…
功夫とは究極に言えば精神の鍛練である。 その拳は、その蹴りは、精神をより高みへと研ぎ澄ますための手段である。 「であるなら」 俺は言葉をきる。 「大麻もまた広義の功夫だと言える」 「なるほどな」 MJは頷いた。 「ラリってんのか」 やれやれだ。こいつは何もわかっちゃいねえ。 ここはLA南部にあるダニージム。功夫映画を見て育った黒人がこぞって押し寄せるフッドの功夫道場だ。無論、俺もその一人。 ここじゃマックィーンよりブルース・リーの方がヒーローだ。 噂じゃ大統領