灰都ロヅメイグの夜 5:ゼウドの見る夢
【承前】
「喋る豚の神託亭」の太っちょ主人、ロッコの窯焼きポルツォは絶品だ。八種の秘密の香味を、竈で滴る極上の豚脂にまんべんなく溶け込ませ、種々の野菜と煮詰めて、歯応えの利いた狐色のドゥラム・ポルツォに乗せて頬張り、安上がりな天国の味を存分に味わった後は、スタウトで一気に流し去って次のポルツォへ。中毒性の高いこの儀式は、およそ銅貨の続く限り、永遠に続けることが可能だった。客の入りは上々で、どこかしら陰気に美しい風景画のごとくさえもある街路と夜の街並みに比べて、いかにも不似合