【さいはてのペイルホース】 #1
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薄暗い店を漂う没薬の煙は、紫肌の楽師が奏でる骨琴の音と絡み合って、その幻惑作用を一層強いものとする。壁一面には無数のイコンが飾られている。砂金を用いた神秘的な光の表現が、薄闇の中で濡れた輝きを放つ。当然それは信仰心からのものではなく、風化時代への単純な美的興味からのディスプレイだ。
店には様々な種族、様々な生業の客が居た。店に入って来た少年は、しかし、陽の光の下をまともに歩けない者たちでごった返す中にあって、やはり異質であった。
諍いや