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闇の訪れのような声だった。 「さあ、抜きなよ」 共に深夜の雑居ビル、その間の暗がりにはとても似つかわしくない二人だった。 一人は静かな闘志を孕んだような赤髪。背は高く、闇のように黒いセーラー服に、赤いリボンタイ。人差し指に通したリングキーホルダーの先、黄金の防犯ブザーは左右に引っ張られ、今にもエネルギーを開放しそうになっている。 ブザーを構えるまで幼剣士とわからなかったことを、もう一人──ルミは己の慢心であると捉えた。 「私が『時知らず』と知っての狼藉か」
叙ンは墓場に住んでいる。 正確には、叙ンは墓場の座標からマイナス数ポイント下に位置している。いつからこうだったのかはわからない。彼はそうあるべしとして作られ、設置された。 この墓場は所謂没データらしい。世界と繋がることなく、さりとて消されることもなく、プログラムの狭間でただ存在することを宿命付けられた叙ンは、唯一実装された墓を掘るモーションを繰り返し、誤った座標の下で足をバタつかせながら別の墓へと移動する。 数もわからぬほど繰り返した時間の中で今、叙ンは初めて自