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TRPGニンジャマスターガイド1:ニンジャスレイヤーの動かし方

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これは「ニンジャスレイヤーTPRG」をプレイしたことがある人や、これから初めてニンジャマスターとしてゲームに挑もうと思っている人のために書かれたコラム記事です追加のゲームルールなどをまとめた「プラグイン」シリーズとは異なり、ここでは主にマスタリングの指針やプレイング環境など、ゼンモンドーめいたコラムを取り扱います。

この記事は初版ルールブック時代に書かれたものなので、現在の版とは用語など細部が異なっている場合もありますが、ルールについて語っているものではないので、そうした細かな違いは特に気にしなくても大丈夫です!



「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ネズミ一匹の分際で、よくぞここまでワシの庭を荒らしてくれたものよな」
「ネズミは二度噛めばライオンをも倒す。すなわちアナフィラキシー・ショックなり」

 - 【ネオサイタマ炎上】より


ニンジャスレイヤーと地の文のロールプレイについて

この記事は、あなたが動かすことになるネオサイタマの死神、すなわちニンジャスレイヤーについて「どんなセリフを喋らせれば良いのかな?」「原作みたいに気の利いた問答が、即興でできるかな?」と迷っている人に向けて書かれたものです。加えて「NMはどこまで小説の地の文のように振る舞えばいいのだろう?」「いわゆる“忍殺語”をたくさん覚えなくては、NMは務まらないのかな?」などと考えすぎてしまい、マスタリングを尻込みしている人のための、ちょっとしたアドバイスも収録しました。

なお、いわずもがな、この記事は「必ずこうプレイすること! このガイドから外れてはいけない!」という堅苦しい作法ではありません。あくまでも、まだマスタリングに慣れておらず不安なニンジャマスターが最初の一歩を踏み出すための、最低限の型のようなものです。なので、そもそもこれらについてあまり気にしていない人は、この記事を読む必要が全くありません。今まで通り、自由に気軽にマスタリングを進めてください!


フジキドは、そもそもあまり喋らなくて大丈夫

「ニンジャスレイヤー(フジキド)を『Wasshoi!判定』で登場させた後、どうロールプレイしたものか? どうすればあんなに気の利いた罵倒を即興でくりだせるだろう? どうすればあんなに無慈悲な殺戮者として振る舞い、PCに恐怖を与えられるだろう? この辺がうまくできないと、原作を読み込んでいるプレイヤーからツッコミが入ってしまうのでは……?」などと不安に思っているニュービー・ニンジャマスターもいるかもしれません。

これに対する答えは「何も心配いらないし、そもそもアイサツ以外まったく喋らなくたっていい」です。つまり、ボードゲームの駒のように、黙々と迫ってきてPCを殺しにかかるだけでも、十分な怖さがあるのです。

「本当に?」と思う人もいるかもしれません。では、このゲームにおけるニンジャスレイヤーの位置付けについて考えてみましょう。一言で言えば、その目的はプレイヤーとPCを”ビビらせる”ことです。では、どうすれば怖くなるのか? 恐ろしいモンスターの条件とは何なのか? その答えはいくつもあるし、原作内では様々な恐怖の形が提示されていますが、それらの中でも特に強力なのは「何を考えているのか全くわからず、意思疎通すら不可能と思われるモンスター」への恐怖です。つまり、会話を重ねすぎると、この部分の怖さが減ってしまうこともあるのです。原作中でソウカイニンジャの多くは、直面したニンジャスレイヤーに対して「狂人め!」との言葉を浴びせています。しかし裏を返せば、これは自分から見て行動原理を理解できない理不尽な恐怖に対して、「奴は狂っているのだ」という理由を与えて、自らの平静を維持しようとする涙ぐましい努力ともいえるでしょう。「理解できないもの、意思疎通が不可能なもの」として振る舞うにはどうすればいいのか? それは先ほども書いた通り、必要最低限のこと以外をしゃべらずに、粛々とPLたちを殺しにかかることです。

原作を見ても、1部のニンジャスレイヤー(フジキド)は、そもそもソウカイニンジャとの戦闘中にあまり喋りません。最初に引用したような見事な返しや煽りをズバリと決めることは、実はそこまで多くないのです。なので、ニンジャスレイヤーのロールプレイに自信がない時は、PCたちの投げかけてくる言葉にも一切取り合わず、「ニンジャ殺すべし!」「サツバツ!」などと行動前に言うだけで、十分にPCたちを震え上がらせることができるでしょう。あるいはそれすらも言わずに、復讐に燃えたぎる目で、ただカラテシャウトとともに突き進んでくるだけでも十分に怖いはず。NMは淡々とその行動だけを描写すればいいのです。


実際の動きとしては?

ニンジャスレイヤーはそもそも【脚力】が異常に高いので、『連続側転』を打ちながらターゲットに近づいてくるだけで、プレイヤーの間にはただ事ではない緊張感が走るでしょう。多くのニュービープレイヤーは【脚力】の上限値が3だと思っているはずですから、ニンジャとしての自信を粉々に砕かれ、震え上がります。今までモータルを相手に圧倒的な力の差を見せつけていたはずの自分のニンジャが、たちまち狩られる側に転落するのです。

登場したニンジャスレイヤーは、まずはルール通り、最も【DKK】が高いPCに対して向かってきて、カラテを決めるでしょう。ニンジャスレイヤーの【カラテ】は13もあり、『連続攻撃3』を持っています。1体のPCに対して『連続攻撃3』を宣言した場合、ダイスを均等割りして5個、4個、4個のダイスで3回『近接攻撃』を繰り出します。これは『連続攻撃』なので、ニンジャスレイヤーが全て判定に成功すると、PCは最大で3ダメージを受けることになります(まとめて全弾回避はできず、最大で3回の『回避判定』を個別に強いられます)。積極的に『サツバツ!』を狙って行きたければ、『連続攻撃2』にして、7個と6個のダイスで2回の『近接攻撃』を繰り出すのもいいでしょう。また、PCの配置によっては、最も【DKK】が高いPCを巻き込む形で『ヘルタツマキ』を使うのも効果的です。『ヘルタツマキ』は『連射6』と『マルチターゲット』を持ちますが『時間差』が無いので、1人のPCに打ち込んでも「まとめて全弾回避」されてしまうでしょう。3体以上のPCを巻き込めるなら、『ヘルタツマキ』は良い選択肢と言えるでしょう。


有名な煽りや返しを2、3個覚えておくと便利

まとめると、無理をしてニンジャスレイヤーに喋らせる必要はなく、むしろその無言ぶりが恐怖をさらに掻き立てることすらあということです。小説の読者からすれば、フジキドはまぎれもない人間性を持った男ですが、大部分のソウカイニンジャにとっては、全く会話の通じない殺忍モンスターであり、理不尽な恐怖を体現したような存在なので、これは実に理に適ったシミュレーションといえるでしょう。ニンジャスレイヤーはPCを最短で追い詰めて爆発四散させたり、インタビューののちに爆発四散させることしか考えていないように見えるでしょうが、それで既に十分なのです。

そしてもちろん、これは「フジキドを喋らせてはいけないぞ」という保守的な意味ではありません。ある程度マスタリングに慣れたニンジャマスターの中には、自分でもフジキドをロールプレイすることを楽しみ、それによってプレイヤーたちも楽しませてあげたいと思う人もいるでしょう。原作に縛られすぎず、ぜひ自由にニンジャスレイヤーを動かしてみてください。PCたちが投げかけてくる脅しの言葉や挑発などに対して、即興で見事な煽りやセリフを返せれば、場が盛り上がることは間違いないでしょう。TRPGセッションでそうした掛け合いが見事に決まると、きっとそのゲームは皆の記憶に残る素晴らしいものになるはずです。

そのため、こうしたチャレンジはぜひ野心的に狙って行ってほしいのですが、一方で、こうした気の利いたセリフを考えつこうとするあまりに、NMがキーボードの前でウンウンと唸り、何分間もテキストチャットの手が止まってしまうようなことがあっては、ゲームの進行スピードが失われてしまって本末転倒となります。そこで、このような時に備えてニンジャマスターは、いわゆるニンジャスレイヤーとサンシタのやりとりの有名なものをいくつかメモしておき、すぐに使えるようにしておくと便利でしょう。

それは例えば以下のようなものです:

◉「何故貴様がここに!?」→「状況判断だ!」
「何故だ!俺がお前に何をした!?」→「オヌシがニンジャだからだ!」「ニンジャ殺すべし!」
「どうして此処が!?」→「通りすがりだ。だがオヌシは殺す!」
「俺を殺しても後続がお前を始末しに来るぞ!」→「望むところだ!」「来た順に殺す!」
「待て!」→「ハイクを詠め!」

この中でも「ニンジャ殺すべし!」「ハイクを詠め!」はとても有名で、またほぼすべてのサンシタの命乞いや脅迫に対して使うことができ、それまでの会話の流れを完全に断ち切ってコミュニケーションの断絶を生むことができるため、極めて強力な殺し文句といえます。深手を負った状態で命乞いしているのにこのようなセリフを突きつけられたサンシタは、目の前にいるのが理不尽の権化とでも呼ぶべきモンスターであることを悟り、絶望するでしょう。

以上で、ニンジャスレイヤーのロールプレイについての簡単なアドバイスを終わります。まとめると「そんなに気負わなくても、十分楽しいよ」ということです。「ニンジャマスターは皆を楽しませなくてはいけない、だから失敗してはいけない」……などと気負わず、ゲームは皆で作り上げていく共同作業であると思えば、セッションはもっと楽しいものになるはずです。


NM(地の文)にも、そもそもあまり奇抜さはいらない

さて、『Wasshoi!判定』時しか現れないニンジャスレイヤーのことはこのくらいにしておいて、そもそも「NMはどこまで小説の地の文のように振る舞うべきだろうか?」「いわゆる“忍殺語”をたくさん覚えなくては、NMは務まらないのでは?」と考え、マスタリングを尻込みしている人に向けて簡単なガイドを記しておこうと思います。

このTRPGは、そもそもゲーム内で起こっていること自体がエキゾチックでエキセントリックなので、ニンジャマスターは特殊な言葉で過剰に色取ったり、合いの手を入れたりせずとも、ゲームの進行役に徹して「今起こっていること」を必要最低限、丁寧に、わかりやすく、真顔で描写していくだけで、十分に楽しいマスタリングと描写が可能です。登場するキャラクター名やシナリオに書かれた固有名詞、およびゲーム用語などがすでにエキゾチックなので、それだけでも十分にニンジャアトモスフィアが漂っているのです。また原作を相当読み込まないとわからないような単語を使いすぎると、プレイヤーが全くついてこれなくなるおそれもあるでしょう。

一方で、予定に反してセッションが重苦しくなりすぎてきたり、陰惨な状況で場がサツバツとしてきたなと思ったら、原作でも使われるような有名な合いの手などでテンションをコントロールすることもできます。右と左、シリアスとリラックス、どちらに傾き過ぎてもあまりよくありません。自然体のマスタリングを目指し、プレイグループの皆で楽しむのがベストです。慣れるまでは大変でしょうが、うまくいかなくても悔やむ必要はありません。どんなにぎこちなくても、きっとプレイヤーたちはあなたのマスタリングを楽しんでくれるはずです!


有名な合いの手や効果音

ニンジャスレイヤーの有名な返しと同様に、ニンジャスレイヤーの地の文で使われる有名な合いの手や効果音などをいくつか紹介しておきます。特にテキストチャットを使ったオンラインセッションだと、これらをアクセント的に挟んでおけば、長いログを読んだ際に「今何が起こっているのか」をパッと見で判断しやすいという利点もあります。

「タツジン!」:スキルの高さなどを賞賛する言葉。PCのニンジャが高難易度の判定を成功させたりした時に使うと良いだろう。このほかに「メイジン!」「スゴイ!」「テンサイ!」などもある。

「ナムサン!」:
PCたちが窮地に立った時などに使う。

「ナムアミダブツ!」:
Oh my god的な意味合いで、信じられないことが起こった時、思わず目や口に手を当ててしまいたくなった時などに用いられる。PCたちにとって好ましい状況でも、好ましくないピンチの状況でも、どちらでも使える。罪無きモータルが暴力の餌食になった時などにも使える。

「インガオホー!」:
率先して【DKK】ポイントを貯めていたPCがニンジャスレイヤーの手によって爆発四散の運命を遂げた時などに使える。

「ゴウランガ!」:
地の文で使われる、最上級の感嘆符。意味はよくわからない。PCたちの立場から見て悪い状況で使われることはなく、素晴らしい奇跡が起こったような時に使うといいだろう。

「キャバァーン!」:イナセな電子音。PCがハッキングに成功した時などに使うといいだろう。

「BLAMBLAMBLAM!」:銃撃の擬音。テキストチャットのオンラインセッションをしているならば、クローンヤクザが一斉射撃してきた時などにこの文字列があると「あ、射撃されているんだな」とプレイヤーが直感的にわかるというメリットもある。

以上が有名どころです。しかしこれも使いすぎは注意で、必要最低限、まるでワサビのように要所要所に入れていくのがいいでしょう。ルールブックのニンジャマスターセクションにもある通り、結局のところは「プレイグループが求めるアトモスフィアは何か?」につきます。それを考えながら、適切に場をコントロールして舵取りをしていくのが、ニンジャマスターの役割なのです。

とにかく、ニンジャマスターの役割というのは、プレイヤーに比べてやるべきことがたくさんあります。忙しくて大変ですが、その分とても楽しいものですし、プレイヤーの時は見えていなかった様々な物語の視点にも気づかせてくれます。だからぜひとも、マスタリングに尻込みせず、この記事で紹介した「困った時のカンニングペーパー」をちょっとメモ帳に忍ばせて、ニンジャマスターに挑んでみてください! そしてゲームを楽しんで!


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