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プレシーズン4【ライオット・オブ・シンティレイション】分割版 #3

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「ウーン、進捗はどうかね?」サペウチCEOは社長室に設置した箱庭でパットゴルフをしながら、呼びつけた本部長に尋ねた。呼んでおきながら、直視しない。それなりの仕打ちであった。本部長は90度でオジギ姿勢を保ちながら報告した。「善処を重ねております」「いつ治る? いつ捕まえる?」「最速です」

「ウーン最速ねェ……100年後が君の最速なのかもね」サペウチCEOは手を止め、髭の剃り跡を擦りながら言った。「僕が怒髪天を衝くまで、最速でどれくらいかな?」「必ずや! 必ず……!」本部長はドゲザにスライドした。その時、彼の携帯端末が鳴った。彼はドゲザしながら応答した。「モシモシッ!」

『ククク……見つけたぞ』「何ッ! 本当か!」『プロはこういう時無駄な嘘はつかない』「そうか! よし、どこのイディオットが……」『嘘はつかない……そして、楽しむ。獲物の恐怖をな』「何……?」ギュルルル! パット球がドライブ回転し、見事にホールインした。

『まあ見ておけ。私はニンジャであり……プロフェッショナルだ。しっかりと追い詰め……個人的に愉しみ……貴社の望みも果たす。見せしめと恐怖が必要だろう? 私はそう思うね……』「待て。犯人の処遇は我が社で決める。コンプライアンスに違反した残虐行為はダメだ。株価が」「……」CEOの横目線。

「と、とにかく、犯人は見つけたのだな! それはデカシタ!」本部長はCEOに大声でアピールした。『クク、その通り。あんたは知らんだろうがネオサイタマのグラフィティ連中は自分自身の紋章となるモチーフを繰り返す。モチーフはIPアドレスに似ている……そう思うね……もう尻尾は掴んだ。熟れた桃を』

「た……頼んだぞ。とにかく頼んだ。ASAPだ」『アサルト……スラッシュ……アブノーマル……ペイン……! ハイ、ヨロコンデー!』「モシモシ!」通話は終わった。本部長は顔を床につけ、満面の笑みを作ってから顔をあげた。「私が手配したエージェントが、きっちりとケリをつけます」


◆◆◆


 ドッ、チチチチ、ドッ、チチチ、ドッ、チチチチチーチチチ。大音量のトラップミュージックに客が身体を揺らす中、マグナカルタはクルーとの複雑なハンドシェイク儀式を終え、あらためてザナドゥに向き直った。「あ……」ザナドゥはやや焦りながら立ち上がり、アイサツした。「ドーモ。ザナドゥです」

「ドーモ、ザナドゥ=サン。マグナカルタです」ハンドシェイクは無い。他所者だからだ。体格は決して大きくないが、底知れぬアトモスフィアは、ザナドゥにもすぐに感じられた。大歓楽街レイド・チョウのストリートをシメているギャング・クランのボスを、彼は前にしているのだ。「……ニンジャな」

「ああ、俺はニンジャだ。それで何か不都合あるのか」ザナドゥは胸を張った。ここでダサい立ち回りは見せられない。彼は腹を決めたのだ。「俺はマナウス出身。ネオサイタマは浅いけどよ。自分が恥じない行いをしたいと思って生きてきた」「マナウス。遠いところから来たンだな」「ハードな街だぜ」

 クルーが目配せする。マグナカルタはザナドゥを値踏みするように睨んだ。「ネオサイタマにカマシに来たッて話?」「バカにはさせねえッて事だよ」「そりゃ当然。マナウス・シティには俺もマイメンがいる」「マジか?」「フッド背負って来てンだな、お前?」「……!」ザナドゥは唸った。「そうだ」

 ザナドゥの目は気迫と不眠で血走っていた。あれから一睡もしていない。ストリートを逃げるように這い回り、顔役と言える人間の存在を口伝てに辿った。四二円茶の存在は、日が浅いザナドゥでも知っていた。とにかく、深く食い込み、このクソのような流れを変えなければならないのだ。

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