【レリックブレイカ:ヴァーサス・エンシェント・イーヴィル】モーメント・オブ・マッポーカリプス
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◇【レリックブレイカ:ハードタイム】 ◇名鑑「ルイナー」
モーメント・オブ・マッポーカリプスは、連続性のあるスレイト群をまとめ、ボーナス・スレイトを追加したアルバムです。
【レリックブレイカ・ヴァーサス・エンシェント・イーヴィル】
1
「オイ」「マジ」レリックブレイカのケネスとジョゼは目を見合わせた。何度となく利用した回廊の、何の変哲もない地点の壁だった。バールで数度殴りつけると、コンクリートは薄く剥離し、妙な切れ込みがあらわになった。逸る気持ちを抑え、彼らは切れ込みにバールを挿し込み、こじ開けた。
現れたのはレバーだった。「マジだ……!」「スッゲ……!」レバーの下には「道」の漢字が逆さ向きに刻まれている。ハイエナ達が近くにいないことをしっかり確かめ、2人はレバーを下ろした。……ゴゴン……。隠し扉の先、あらわれたのは石の階段だ。階段の左右、兵馬俑めいた彫像がカラテを構え、連なっている。
ケネスとジョゼは息を呑む。「これさァ……カラテだよね」「うん」「もしかしてこれ……バトルテンプル跡だとしたら、ルイナー=サンの探してる……」「かもね」ジョゼは階段の下にライトを向ける。「ビッグディールかもしれない……」……階段を降りた先にあったのは……ナムサン……石の柱に囲まれた円形の舞台!? そして中央でアグラする存在が、メディテーションを中断させられたか、ビクリと震え、片目を開いた!「貴様たち! 何故ここへ参った!」
「エッ!」「生きてる!?」「イヤーッ!」その者はアグラ状態のまま空中に飛び上がり、立ち上がった。そしてカラテを構えたのである! 長い白髪を後ろに撫で付け三編みにした男で、道着を着、メンポをしていた! ニンジャ!「アイエエエエ!」「アイエエエエ!?」ケネスとジョゼは悲鳴を上げ、失禁しながら倒れ込んだ。
「ヌウーッ……! いかん!」カラテ存在は石舞台の奥を振り返った。ナムサン! 小さな庵がガタガタと揺れ、カンノン扉が跳ね開いた! 庵の中から、光り輝くアブストラクトな煙が飛び出す!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャはトビゲリで煙を攻撃したが、見る間に煙は空中で実体化、蹴り返した!
「グワーッ!」KRAAASH! ニンジャは壁に背中から衝突し、下へ落下して動かなくなった。「アイエエエエ!」「アイエエエエエエ!」ケネスとジョゼは泣き叫び、階段を駆け上がった。「イヤーッ!」「アバーッ!」実体化した邪悪な存在がケネスの背中を掴み、背骨を引き抜いて殺した。
「アイエエエエ!」ジョゼは携帯IRC端末に必死にメッセージを打ち込んだ。「タスケテ……」「イヤーッ!」「アバーッ!」邪悪な存在はジョゼの髪を掴み、頭を720度回転させて捻じり切った! ナムアミダブツ……ナムアミダブツ!
「ヘァーヘァヘァヘァヘァ!」邪悪なカラテ存在は目を光らせ、身をのけぞらせて哄笑すると、悠然たる足取りで石段を登り始めた。砕けた壁の下では、敗北したニンジャがうつ伏せ状態で、震える手を伸ばそうともがき……「いかん……」……倒れ、意識を失った。
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