シャード・オブ・マッポーカリプス(7):磁気嵐の晴れた世界で(2)
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……ドーモ。
ドーモ、お目覚めかね。
その通り、君はまた眠っていたんだよ。どうやら睡眠障害の兆候があるようだ。サイバネ手術の影響? まさか、我々がそんな不手際をするはずがないだろう。君はそもそも、ガレキに埋もれた状態で生死の境を彷徨っていたことを思い出してくれたまえ。即死しておかしくないほどの戦闘ダメージを受けてなお、その程度の神経接続障害で済むのだから、まったくニンジャの持つバイタリティには恐れ入る。
さて、運動能力テストの結果は良好だ。すでに君は四肢を失う以前の状態まで回復している。我がカタナ・オブ・リバプール社が誇る、世界最高峰のサイバネティクスの力によってね。
サイバネティクス / Cybernetics
今さら君に説明する必要はないかもしれないが、サイバネティクスとは要するに、神経系と電子接続された義肢、または義体のことだ。欠損部を補うだけでなく、人間の身体能力を拡張するためにも用いられる。Y2K以降に起こった電子戦争が、戦闘用サイバネティクスと生体LAN端子直結手術の開発を急激に推し進め、キボウ、コダマ、キンタロ、テッコ、グソクなどの払い下げバルク品が日本のヤミ市場に大量に出回った。無論我々も、それらからリバースエンジニアリングを試みた。
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