プレシーズン4【キタノ・アンダーグラウンド】分割版 #4
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「イヤーッ!」KRAAASH! ニンジャスレイヤーは厳重な金庫のダイヤルをマスターキーめいたニンジャ握力で破壊した。そして鉄扉を引き開ける。ガシュッ! たちまち二重のシールドが閉じ、危うくニンジャスレイヤーは手首をケジメされかかった。今度の防備は堅牢である。「……」彼はUNIXデッキを見た。
ダッダーズバシバシ。モニタが明滅し、ファイアウォールのランプが輝く。「ニンジャをやったぞ」ニンジャスレイヤーはタキに呼びかけた。『……ザリザリ……』彼のニューロンにタキのIRC通信が繋がった。『クソッタレ、奴ら押し寄せてきやがって……』「ジアゲの連中か」『ファック! そうだ!』
やはりだ。彼の懸念の通りになった。「とにかく持ちこたえろ。すぐに戻る」早口で言った。「ロックの解除が要る。こっちのUNIXに繋げるか!?」『社長のデッキあるな? ソーシャルできるか?』「待っていろ」パスワードが要る。ニンジャスレイヤーはモニタ横の本棚の背表紙を確かめた。ヒントはあるか。
「成功者の法則」「ビッグ・キンク」「般若心経」……ネゴシエイターはこの社長室をニンジャの宝物殿めいて飾り立てている。誰にも入れなかった筈。他の者の気配は感じられない。となればパスワードはぞんざいか、付箋が貼ってあるか……。背表紙のタイトルはどれも弾かれる。
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはデスクの引き出しを破壊、引きずり出した。「……!」一瞬、時間が止まった。彼は中にあったものに触れた。違う。触れればわかる。これは、"そのもの" ではない。だが……。彼はそれを懐にしまい、入力した。『S、A、T、S、U、G、A、I 』。
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