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【クエスト・フォー・ヨモガハマ】

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これまでのあらすじ

 シ・ニンジャのソウルを宿すこととなった少女、ヤモト・コキは、三大ニンジャ組織の崩壊後、しばし安寧の時を過ごした。だがシ・ニンジャクランの力を狙う者は後を絶たず。ゆえに彼女はネオサイタマを離れ、己の内なるソウルと向き合うべく、探索の旅に赴いたのである。

 ……古事記に曰く。偉大なるシ・ニンジャは古来よりオヒガンの門を司り、忌まわしき闇の眷属を御し、世界の調和を支えてきた。

 而して時代はくだり、暗黒メガコーポとマッポーカリプスの時代。世界にエテルが満ち、神話と電子文明が重なり合うなか、シ・ニンジャの不在は混乱の火種となりつつあった。統制されざるシ・ニンジャクランの強大なニンジャソウルを宿す者達が、不穏な動きを見せ始めたのだ。

 生と死の理への干渉を試みるもの。自身がクランマスターとなるべく同族殺しに勤しむもの。あるいは文明社会を破壊せんとするもの……。

 ここへ至り、放浪のニンジャ、ヤモト・コキは、シ・ニンジャのソウル憑依者としての責任を果たし、調和を取り戻すべく、北米カナダのネザーキョウよりネザーオヒガンに赴き、オヒガン深奥、ヨミの門を目指すこととなった。それはシ・ニンジャの隠遁の地、「ヨモガハマ」にあるという。

 ネザーオヒガンに足を踏み入れたヤモトは、神秘の茶器ニッタ・カタツキ、オモカゲ、ヒラグモを用いて邪悪なチャドー儀式を行うリアルニンジャ、ティアマトを咎めた。ニッタ・カタツキこそは、彼女がヨモガハマへと渡るための鍵でもあったからだ。

 暗黒チャドーの使い手たるティアマトは、ヤモトのカラテを凌駕し、重傷を負わしめたが、決着を求めなかった。ティアマト自身も重大なクエストの途上であり、あくまでシ・ニンジャを滅ぼす事に拘れば、千日手めいたイクサに突入する。益無しと判断したティアマトは、ネザーキョウにおける己の目的を果たし終えると、ヤモトをその場に捨て置いたのであった。

 ヤモトは茶器を手に、ネザーオヒガンの奥へと進む。一方その頃、北米大陸より遠く離れた、アデレードの市街では……。



オーストラリア大陸、アデレード市街

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