【バトルグラウンド・サツ・バツ】 1
【バトルグラウンド・サツ・バツ】 1
落雷の音がバンディットの意識を覚醒させた。
「イヤーッ!?」
バンディットは咄嗟に地面に手をつき、跳ね起きて、カラテ防御姿勢をとった。彼自身のソウカイ・シックスゲイツとしての油断なき実力、ニンジャ第六感が、なかば無意識的にそのような行動を取らせたのだ。
そして己自身を見下ろし、周囲を見渡した。
彼は見知らぬ広野のただ中にいた。地衣類で覆われた地面。彼方には稜線と深い森の輪郭。ひらけた空。星が輝いている。雲ひとつない空だ。では雷の音は、錯覚、あるいは夢であったのか?
「どういう事だ。そもそも俺はネオサイタマで密書を……」
バンディットは呻いた。
そう、彼はネオサイタマで密書を運んでいた筈だ。常人の三倍の脚力とステルス能力を持つ彼は、重金属酸性雨に濡れることすらなく、ネオサイタマ市街を駆け抜け、トーフ工場襲撃にまつわる密書を運んでいた筈だ。そして……。
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