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S3第7話【ナラク・ウィズイン】#5(分割版)

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◇関連エピソード:「ギア・ウィッチクラフト」

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「イヤーッ!」KRAAAASH! 赤い斧がコメ釜を切り裂き、吹き飛ばす。ニンジャスレイヤーは前転して懐に潜り込む! レッドテラーは嘲笑った。「笑止! 同じ同じ!」腹にアイソメトリック力を込め、解き放つ!「イヤーッ!」……ニンジャスレイヤーの目がギラリと輝いた!「イヤーッ!」

「グ……グワーッ!?」レッドテラーは腹膨張をうまく行えず、噎せ返って後ろに吹き飛ばされた。ニンジャスレイヤーは腹膨張を予め予期しており、その腹圧を上回る連続打撃を浴びせたのだ!「わかっているぞ」ニンジャスレイヤーは言い放った。「創意工夫がないのは貴様だ、レッドテラー=サン」

「ほざけェー!」レッドテラーはマナイタに置かれたマグロの下半身を投げ、斧攻撃をしかける!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは回転ジャンプし、飛来したマグロ下半身を踏石にして、空中で4回転! 強烈なトビゲリを顔面に食らわせる!「イヤーッ!」「グワーッ!」KRAAASH! 廊下へ飛び出す!

 (((マスラダ))) 高ぶったニンジャスレイヤーのニューロンに、ナラク・ニンジャの声が再び木霊した。(((この程度のビッグニンジャに何を手こずっておる。はよう参れ、儂のもとへ))) ニンジャスレイヤーは舌打ちした。受け身を取るレッドテラーに間合いを詰める。「イヤーッ!」襲いくる起き上がり斧!

 ニンジャスレイヤーはレッドテラーの起き上がりぎわ攻撃をあらかじめ警戒していた。脛を切り裂く低空斬撃を側宙で飛び越え、カラテを畳み掛ける!「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」怒涛の連続攻撃! レッドテラーは数度は圧されるも、打撃に適応し、やがて跳ね返した!「惰弱なカラテよ!」

 しかしレッドテラーが勝利を確信したその瞬間、予想を上回る拳撃がレッドテラーに叩きつけられたのだ!「イヤーッ!」「グワーッ!?」タタミ数枚距離を後ろに滑り、レッドテラーは困惑とともに斧を構え直す。

 ニンジャスレイヤー自身も、己の拳に黒炎の感覚が微かに戻りつつある事を驚いていた。こめかみに血管が浮き上がり、頭痛を伴って心臓がひと打ちした。ゴマグラウンドの方角に強い質量を感じる。ギンカクに実際相当近づいた事で、本来の力が一時的に戻りつつあるのか。

 (((グググ……オヌシの至らなさに再び直面しておる。何とおぼつかぬカラテか)))(黙れナラク)(((此奴は力に任せて突っ込むばかりゆえ、オヌシは……)))「イヤーッ! イヤーッ!」怒り狂ったレッドテラーが斧を振り回しながら迫る。ニンジャスレイヤーは紙一重で回避し、ヤリめいたサイドキックを叩きつけた!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 KRAAASH! ショウジ戸破砕! エンガワに滑り出る!(黙れ。こいつの動きは理解した)念を押し、ナラクを黙らせる。シトカでナラクの力を使い果たし、一度はゲニンに等しいまでに弱まったニンジャスレイヤーであったが、たゆまぬ道中の鍛錬と激戦を通し、熾火めいて残されたニンジャ筋力とワザを鍛え上げてきた。ナラクに侮られる謂れはない。

「貴様!」KRAASH! KRAASH! レッドテラーはエンガワを斧で殴りつけ、一撃必殺の斬撃を振りかぶった。ニンジャスレイヤーは力を込めた。ギンカクに活性化された内なる黒炎が血を巡った。「イヤーッ!」右手を振り抜くと、速度とカラテがスリケンを生み出し、レッドテラーに飛翔した!「グワーッ!」

 攻撃の瞬間に思わぬスリケンを投じられたレッドテラーは怯んだ。ニンジャスレイヤーはこの隙に高速前転、再度のワン・インチ・カラテ攻撃に出る!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」レッドテラーは防御を捨てる! 殴られながら、巨大斧を真上から振り下ろした!「イヤーッ!」

 KRAAASH! ニンジャスレイヤーは上から振り下ろされた斧の柄を危うく受け止めた。バリバリと音を立ててエンガワが沈み込む。「ヌウウ……!」睨み上げる目に黒炎が走り、背中に縄めいた筋肉が浮かび上がる!「……イイイイヤアアーッ!」ほんの一瞬、押し戻す! 

 (((感謝せよ!))) ナラクの声が再びニューロンに混線した。(((やはりオヌシはこの程度の弱敵相手にも儂の力が無くば話にならぬのだ……)))「イヤーッ!」怯んだレッドテラーを前に、ニンジャスレイヤーは高く跳ねた。そして目潰しを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッ!?」視神経破壊! ナムサン!

「イヤーッ!」「グワーッ!」腹部に打撃!「イヤーッ!」「グワーッ!」側面に回り、膝に蹴り! レッドテラーは怒りと苦痛に血を滾らせ、吠える!「惰弱な小虫めが! 調子に乗るなァーッ!」KRAAASH! KRAAASH! 全身にカラテを漲らせ、建物を巻き込んだ大振りな斬撃を繰り返す! KRAAASH! KRAAAASH!

 KRAAASH! KRAAAASH! 激しい破壊はシンデンヅクリ・パレスを徐々に移動してゆく! そして……「イヤーッ!」KRAAASH! レッドテラーの斬撃は屋根を叩き切り……ニンジャスレイヤーはそれを躱し、宙に跳んでいた。そこから腕に巻かれたフックロープを首筋めがけ繰り出した!「イヤーッ!」「グワーッ!」

 ニンジャスレイヤーは力を込め、ロープを引き、レッドテラーの首筋へ一瞬にして飛び込んだ。チョップを延髄に突き刺し、ボトルカットじみて、レッドテラーの首をぐるりと回った。「……イヤーッ!」「グワーッ!」鮮血が高々と噴き上がった。三点着地の背後で、レッドテラーは爆発四散した。「サヨナラ!」

 (((急げ。マスラダ。祈祷がうるさく0100101……かなわん01001))) ザリザリザリ。ノイズの中でナラクの声が遠ざかる。『オイ!大丈夫か。撒いたか?』今度は、タキのIRC通信だ。「うるさいぞ」『状況確認だろうが! 他の奴らは各自のターゲットに向かったぞ! ニンジャどうなった!』「殺した」『よ、よし』

 ニンジャスレイヤーは周囲を見渡した。戦闘の中で移動を強いられた。ここから待機地点に向かうには……BRATATATA! BRATATATA! すぐそばで銃撃音がした。ニンジャスレイヤーはそちらをめがけ、走り出した。「イヤーッ!」KRAASH! ショウジ戸を突き破り、部屋を駆け抜け、逆側へ飛び出す!「イヤーッ!」

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