S4第7話【テンペスト・オブ・メイヘム】分割版 #2
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マルノウチ・スゴイタカイビル屋上。正体不明の植物によって天蓋めいて頭上を覆われた空間の中央、緑の玉座に尊大に座るアヴァリスは、闇色の目に興味深げな色彩を漂わせた。なぜなら、何人たりとも入りえぬ筈のこの場所に今、妖しくも美しく、そして邪悪な来訪者が現れたからだ。
ぬばたまの黒髪の女は、壁めいて密集する蔦を萎縮させながら、無雑作に歩み寄った。そしてオジギした。「ドーモ。アヴァリス=サン。ティアマトです」「ティアマト?」アヴァリスは首を傾げ、目を細めた。そして鼻を鳴らした。「クルシュナイ。俺はアヴァリス。始祖カツ・ワンソーそのものだ」
「くすくすくす」ティアマトは口元を手で隠し、たおやかに笑った。「無知はときとして爽快なものじゃ、アヴァリス=サン。さような物言いはサツガイとて、せなんだぞ」「ならば俺のほうがサツガイよりも次元が高いのだろう。額づけ、ティアマトよ。ヴァインが俺にしたように」
アヴァリスからは凄まじいアトモスフィアが放たれた。非ニンジャであれば狂死し、なまなかなニンジャは本能的にドゲザするほどの圧力だ。しかしティアマトは笑みを深めただけだ。「そなたはいまだ不完全なもの」ティアマトは言った。「我を自由にしたいのならば、ハゲミナサイヨ……」
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