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銀貨の行方(前編)

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 其処は荘厳で、或いはどこかしら陰鬱で、総じては、静的な停滞の美に満ち溢れていると云わざるを得なかった。其処はさながら古き寺院のようであり、古き城塞の如くもあり、古き廃墟のようでもあった。しかし、其処は紛れも無く灰都ロヅメイグであり、その古き第七図書館の東広間であるのだった。

 底知れぬ書架の迷宮。鉄製の細く美しい階段の群が、其処彼処で地階と二階を繋いでいた。果たしてどれだけの書物が収められているのか、もはや皆目定かならぬ程であった。

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