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S3第7話【ナラク・ウィズイン】#3

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◇関連エピソード:「ギア・ウィッチクラフト」

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 フィルギアは朦朧としながら、互いの陣営のアイサツを聞いた。風が吹き抜け、気づけば、彼はトムと共に、少し離れた地点、マングローブの木陰に寝かされていた。「ウ……ア」フィルギアは震える手で重箱に手を伸ばした。「スシか。スシだな」コルヴェットが察し、サーモンを手渡した。

 咀嚼したサーモン・スシが口の中でとろけると、滋味がカラテとなって彼の全身を駆け巡った。「……!」フィルギアは起き上がり、重箱を抱え、トロ・スシを食らう!「デアエ!」処刑場からそう離れていない。すぐにゲニンが見咎め、向かってくる!「ココマデ、ヤメテダゼ!」コトブキが立ちはだかる!

 彼女はガトリングガンを腰だめで構えていた。「ナッ?」「デアエ?」BRRTTTT!「グワーッ!」「アバーッ!」容赦なきガトリングガン攻撃に蹴散らされるゲニン達!「おっさん、ワープして、すげえ!」ザックがコルヴェット達に駆け寄る。「ウイック。み、見ての通り、サケが必要ゆえ子供には無理だ」

「お、俺も……ヒヒ……少しは頭数に入れるように頑張るぜ……ゲニンぐらいの役には立つ……」フィルギアはトロ・スシを掴み、喰らう。恥も外聞もなしだ。「アンタ、ニンジャだってさっき聞いたぜ。頑張ってくれよな」ザックが励ました。そして、見よ、罪人をまんまと奪われた処刑演台では、今!

「イイイイヤアアーッ!」KA-BOOOOOM! 黒紫の炎波が迸り、処刑演台をえぐり取った! ニンジャスレイヤーは咄嗟のジャンプで逃れたが、ナムサン!? 見物市民やゲニン数名が巻き添えとなる!「アバーッ!」「アバババーッ!?」黒い火がこびりついた彼らの身体がみるみるうちに枯れて、萎びてゆく!

 ネザーカトンは消えない炎! 大地を侵食し、くすぶり、その火は見ようによっては苦しみ呻く人のようにも見え、怨嗟の声に似た音を響かせる。「ドゥーム」「ドゥゥーム…」コワイ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは着地点付近のアカゾナエ達を強引なカラテでなぎ倒す!「グワーッ!」「グワーッ!」

 ニンジャスレイヤーは身をかがめ、ジョウゴ親王を狙うが、すぐさま立ちはだかったのはスモトリめいた巨漢のアカゾナエ甲冑ニンジャ、レッドテラーである。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのチョップを、赤い斧の柄で受ける!「調子に乗るな下郎……!」

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは連続打撃でレッドテラーに攻撃をしかけた。ワン・インチ距離ならば、巨大武器を持つレッドテラーよりもニンジャスレイヤーに利がある。怒涛の打撃で脇腹を殴りつける! レッドテラーの目が残虐な輝きを帯びる!「コシャク! コシャクゥ!」

「イ……」「イヤーッ!」レッドテラーは一瞬身を縮め、そして、解き放った!スモトリめいた巨大な腹圧が、ニンジャスレイヤーを跳ね飛ばした!「グワーッ!」吹き飛ばされるニンジャスレイヤーをめがけ、斧を振り上げたレッドテラーは片足立ちでステップを踏む。そして振り下ろす!「イヤーッ!」

 SLAAAASH! マングローブ樹が真っ二つになった。ニンジャスレイヤーは咄嗟にフックロープを隣の木へ放ち、跳ね逃れた。「蚊、蚊、蚊!」レッドテラーがマングローブ樹を蹂躙しながら罵った。「リキッド=サン!」「応よ!」着地したニンジャスレイヤーの足元の水が声を発し、ゼリーめいて凝縮した!

「ヌウッ!」ニンジャスレイヤーは異常を察知し、ゼリーじみて固まろうとする足元の水を蹴り払った。すると、ナムサン! 飛沫は空中で人の形を成し、アカゾナエのニンジャとなって、ニンジャスレイヤーの脚に絡みついているではないか! これがリキッド! そして彼が操るスイトン・ジツの一種だ!

「喰らえィ!」リキッドはニンジャスレイヤーにアキレス腱がためをかけにいく! スワ、人体破壊! ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感は腱を捻じり来られるより一瞬速くその危険を察知し、リキッドごと、踵を地面に叩きつけるように振り下ろした!「イヤーッ!」「グワーッ!」

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