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S3第8話【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#7

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「ドーモ。スラッシュです」拷問鞭のニンジャは、振り返ったアナイアレイター達にアイサツした。「我が娯楽の殿堂、ナガシノ牢獄へようこそ。いかなる御用かな?」「フシューッ……」もう一つ、敵意ある息遣いがあった。スラッシュの背後に別のニンジャの顔が浮かびあがる。「ドーモ。ケンゴウです」 

「ヤーアアア! 痛めつけないでくれ!」鉄格子の中でアンモナイト頭のニンジャが七転八倒した。「私はこれ以上非道行為をするつもりはない! どうか許して……!」心神喪失したニンジャのみならず、他の囚人達もスラッシュを見て恐慌状態に陥っていた!「アイエエエエ!」「アイエエエエ!」「許して!」

「イヤーッ!」ヒュパアン! スラッシュはほとんど反射的に拷問鞭を振っていた。「アバーッ!?」鉄格子をすり抜け、鞭が囚人の一人を手繰り寄せ、一瞬でぐるぐる巻にした後、開放しながら切り裂いた。「アババーッ!」血飛沫!「黙るがいい、惰弱インターネットめ! ……いや失礼。豚が騒いだのでね」

 哀れな囚人は皮膚や粗末な衣服をリンゴの皮剥きめいて剥ぎ取られ、血塗れになって床で事切れた。囚人達は叫ぶことすらできず息を殺した。アナイアレイターは舌打ちし、アイサツを返した。「ドーモ。アナイアレイターです。趣味のわりいもの見せやがって」「ドーモ。アズールです」

「どうやってこの処分塔に入り込んだかは興味がない……」スラッシュはほくそ笑んだ。「……何故なら私の頭は貴殿らをいかにいたぶりぬくかで一杯に……」「無理矢理に入り込んだ。他にあるか?」アナイアレイターが遮るように言った。その目は金色に光り輝いていた。「テメェらブチのめすためにな」

「「「「イヤーッ!」」」」次の瞬間、四人のニンジャは一斉に動いた! 円い柱が等間隔に並び、見通しの悪い牢獄空間である。スラッシュは床すれすれにまで身を反らし、鞭を繰り出す。その上をケンゴウが飛び越え、天井を蹴って襲いかかる。両手にカタナだ。アズールは鞭を躱して柱の陰。そして……!

 アナイアレイターは手をかざし、前方に幾筋もの有刺鉄線を放射した! 弾かれるスラッシュの鞭! だがケンゴウは二刀流空中斬撃で問題なく鉄の触手を切り裂き、空中で回転しながら襲いかかる! SLAAASH!「アアッ……!」アンモナイト頭のニンジャは呻き声をあげ、決定的瞬間を目の当たりにした。

 弾かれたスラッシュの鞭は、柱に引っかかるようにして軌道を変え、陰に走ったアズールを正確に狙った。アブナイ! だが、BLAMN! アズールの49マグナムが火を吹き、彼女を反動でさらに横へ飛ばして回避せしめる。

 そして銃弾は鉄格子の奥に飛び、跳ね返り、柱、壁に反射し……「グワーッ!?」アナイアレイターの首を刎ねようとしていたケンゴウの脇腹に銃弾が突き刺さったのである! ケンゴウのタクティカルニンジャアーマーの隙間を狙った驚くべき精度であった。アナイアレイターはこの機を逃さなかった。「イヤーッ!」「グワーッ!」杖で側頭部を殴りつける!

 恐るべきニンジャ腕力と鈍器によって殴られたケンゴウが強制側転で飛び離れる陰から、スラッシュが滑り出し、目にも留まらぬ鞭攻撃をアナイアレイターに繰り出す!「イヤッ! イヤーッ! イヤーッ!」ヒュパン! ヒュパアン! 幾筋にも枝分かれした拷問鞭! アナイアレイターは鉄条網を防御的に展開!

「凄まじい速度だ。アレに私はひどく痛めつけられたものだが……!」アンモナイト頭の男はフルメンポの奥、ニンジャアドレナリン分泌によって正気づいてきた目をすがめた。「鉄条網を高速展開してピンポイント防御。手錬れたニンジャだ。左半身は不定形なのか? これは……嗚呼ッ!」アズール!

 狭い牢獄空間、弾かれたケンゴウがそのままアズールに襲いかかり、二刀斬撃を繰り出したのである! アズールはしかし、狙いを定めて49マグナムを撃っていた! BLAMN!「イヤーッ!」銃弾は襲いきたカタナの一方に命中して切っ先を反らし、反射して、もう一方をも反らしたのだ! ワザマエ!

「なかなかどうしてこれは……!」アンモナイト頭のニンジャは舌を巻き、傾いたフルメンポを白手袋の指で支えた。彼の頭の横の壁には今の跳弾が突き刺さっていた。「ちょこまかとォ……!」ケンゴウはひらりと身を翻し、階段方向へ走るアズールを追う!

「突然の逃走? 恐らく否。少女の脚ではケンゴウを振り切る事はできん。しかも見たところ要塞の通路の土地勘はないストレンジャーだ。ならばはじめから逃走の意図はないな……ケンゴウはその点を警戒しておるや否や?」「イヤーッ!」「イヤーッ!」スラッシュとアナイアレイターがぶつかり合う!

 アナイアレイターの左腕は、今やうねる鉄条網鞭に変貌していた。振り回し、スラッシュの拷問鞭を弾き返す。スラッシュの拷問鞭は一筋一筋が別々の動きをとる極めて厄介なものであったが、アナイアレイターの左腕から派生する有刺鉄線の筋はそれらに絡みつき、逐一封じてしまうのだった。

「勝負あったか」アンモナイトは息を潜め、呟いた。「ジツで構成していると思しき彼の正体不明の半身もさることながら、カラテの差はあまりにも明白」……「バカな……」スラッシュは目を剥いた。「貴様……何者」「アイサツは済ませたぜ」アナイアレイターは杖を捨て、右拳を固める!

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