【ビースト・オブ・マッポーカリプス後編】セクション別 #2
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「ようやく俺の番だ」アヴァリスは不敵に微笑んだ。「神聖なるオミクジの順番決めやら、カリュドーンの典範やら、実際くだらない限りだ。所詮あのセトがお膳立てした茶番だろうに、神聖もクソもない。そう思わんか?」「……」ニンジャスレイヤーは無言。
「他の狩人連中とのイクサはどうだった、ニンジャスレイヤー=サン?」半神はその目を爛々と輝かせた。「コンヴァージの瓦礫の力はどうだった。手強かったか? ベルゼブブの蝿はどうだ。厄介だったか。マークスリーのチャドーには手こずらされたか? サロウのユメミル・ジツは楽しめたか? ブラックティアーズの凄みは俺も味わったよ。そしてメイヘムは力強く、美しかったな」
やがてニンジャスレイヤーは言った。「貴様もそこに加わるだけだ。おれがやる」空にはキンカク。冷たく輝き、アヴァリスの為に光を降ろす。遠くからはこの屋上に光の柱が立っているように見えるだろう。「貴様を潰して、くだらん儀式とやらにもケリをつける。面倒はそれで終わりだ」
「その意気だ、獣よ!」アヴァリスはカラテを構えた。両手を無雑作にひろげ、ニンジャスレイヤーに向かう。大雑把で無頓着な構えだ。「だがな、俺にとってこれは始まりだ、ニンジャスレイヤー=サン。この楽しい都市を呑み込んで、景気のいいスタートを切る事ができる。好きにやらせてもらうつもりだ……」
「どうでもいい。おれがそれをさせないからだ」ニンジャスレイヤーは頭が床につくほどに前傾し、垂らした腕にカラテを漲らせた。黒炎が指先から腕へ、肩へ、見開かれた目へ伝った。対峙する二者の間で空気が凝固し、時間の流れは極めて鈍化した。「イ……」「ヤーッ!」カラテシャウトが放たれた!
ニンジャスレイヤーは赤黒い炎となって弾けた。否。その瞬間には彼の実体はタタミ一枚先にいる。アヴァリスは興味深げに目を見開いた。瞬間的な加速を、彼のニンジャ動体視力は追えていた。ニンジャスレイヤーの決断的な鉤手を、黒い上衣が遮る。生きた衣だ。無数のクロヤギが拳に食らいつく。
「イヤーッ!」KBAM! ニンジャスレイヤーは黒炎を注ぎ、アヴァリスの上衣を焦がして破壊した。悲鳴を上げて飛び散る破片。それらは小さなクロヤギとなり、身悶えしながらアヴァリスのもとへ再び群れ集い、衣に同化してゆく。そのさなかも二者は殴り合いを続ける。「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」流れる炎めいてニンジャスレイヤーは大ぶりのカラテを繰り出し、アヴァリスは渦巻く上衣によってそれを受け流す。カラテはさらに加速し、二者は次第にワン・インチ距離に迫った。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
切り裂くようなチョップでアヴァリスの上衣が燃え、弾け飛んだ。だがニンジャスレイヤーは更なる一撃を残していた。半身姿勢となった彼はアヴァリスの脇腹に逆の拳を押し当てていた。「……!」「……!」二者の目が、ほんのコンマ01秒間、交錯した。「グワーッ!」アヴァリスは吹き飛んだ!
KRAAASH! シャチホコ・ガーゴイルにアヴァリスは背中から衝突! 上空のカラスの群れがせわしなく鳴き喚き、旋回する! ニンジャスレイヤーは黒炎の噴き出す右手を足元のコンクリートに突き刺し、刳りながら走り出す。「来い!」アヴァリスは笑った!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは跳ぶ!
「AAAARGH!」分裂していたクロヤギがイノシシほどの大きさに集合し、割って入るようにしてニンジャスレイヤーに襲いかかった。ニンジャスレイヤーは鉤手を突き出し、クロヤギを破壊した。さらに一匹! それをも貫通! さらに一匹! なお貫通! その先にアヴァリス……!
(((マスラダ!注意せよ!)))
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