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S3第7話【ナラク・ウィズイン】#8(分割版)

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◇関連エピソード:「ギア・ウィッチクラフト」

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「デアエ!」「デアエ!」シンデンヅクリ・パレスに続々とゲニン達が集まりつつある。トムは茶室に身を潜め、ライフルのリロードを行う。「どうか……どうかドスエ、命だけは……」部屋の隅ではオイランが震えている。「危害を加える気はない」そちらを見ずに言い、ショウジ戸の隙間から外をうかがう。「すぐに出ていく」「アイエエエ」

 トムは深呼吸し、3つ数えて、転がりながら廊下へ飛び出した。BRATATATATA!「グワーッ!」TATATATA!「アバーッ!」走りきたゲニン達に銃弾を浴びせ、前進を開始する。北五重塔で装備を奪取し、ZBRアンプルも使用する事が出来た。身体はよく動く。まだ戦える。胸には電磁テープがしまってある。必ずこれを持ち帰る。

 BRATATA!「グワーッ!」さらに一人を蜂の巣にして、トムはリロードを行った。(デアエ!)(デアエ!)近づくゲニン達の声。キリがない。だが、裏を返せば、ゴマグラウンドの警備をこちらに引き寄せる作戦が成功しているとも言える。「デアエ!」横のフスマが跳ね開き、ゲニンが飛び出す。アブナイ!

 血走った目がトムを見た。「惰弱侵入者めが! 死……」その1秒後!「ハイヤーッ!」「グワーッ!」それを追って飛び出してきたコトブキが後頭部にカンフーキックを食らわせた! 庭園へ転がり落ちるゲニン! トムは咄嗟にライフルで撃ってトドメを刺す!「トム=サン! ご無事ですか」「あんたもな……」

「ザックとフィルギア=サンが心配です。合流しなければ」「そうだな」「タキ=サン、彼らは無事ですか? ニンジャスレイヤー=サン達も……」『ザリザリ……混み入ってやがンだ』ノイズ混じりの通信が返ってきた。『ゴマグラウンド、どうもおかしなことになってるようだぜ……混乱が……!』

「俺たちが、やれるべき事をやる」トムはコトブキに言った。「フィルギア=サン達と合流し、作戦を終わらせたニンジャスレイヤー=サンとコルヴェット=サンの脱出を助ける。あとは……この地をおさらばだ」「ハイ!」コトブキはショットガンをポンプし、トムに並び立った。「ガンバロ!」


◆◆◆


 然り、ゴマグラウンドにはのっぴきならぬ状況が生まれていた。ゼンめいて平らかであった白砂の大庭は、今や箱庭グランドキャニオンじみて凸凹の地盤隆起に蹂躙されていた。あべこべに持ち上がった崖の下ではニンジャ同士が血みどろの争いを繰り広げている。そして中央には最も高い地盤……災厄の中心!

 そびえ立った巨大な円柱状の崖の側面には無数の水晶が乱れ生え、頂上部にわだかまる黒炎の中、ニンジャスレイヤーがその力をゆっくりと吸い上げる様子を、ザンマ・ニンジャはじっと見据えていた。(このまま時間をくれ)観察するコルヴェットは、祈るように考えた。だがザンマは動いた!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは黒炎溜まりから飛び出し、ザンマを迎え撃った! 振り下ろされるザンマブリンガーを左裏拳で殴り逸らし、右拳を顔面に叩きつけにゆく! ザンマは身体を傾け、肩で受ける!「イヤーッ!」そして、ケリ・キック! ニンジャスレイヤーはクロス腕で受ける!

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはクルクルと回転しながら吹き飛び、着地した。その軌跡は赤黒い火花を伴っていた。ニンジャスレイヤーは顔を上げた。「忍」「殺」。メンポに刻まれた漢字が、溶岩めいた赤黒い輝きを微かに滾らせた。「……ザンマは見通す」ザンマ・ニンジャは低く言った。

 そして……崖下の凄惨なるバトルグラウンド、ジョウゴ親王の勢力と、裏切ってケイトーについたニンジャの配下達が乱戦する中、ヘラルドは血を吐き、手をついて、震えながら身を起こした。落下してきた彼を、用心深く包囲するゲニン達。手にはヤリを構え、警戒心と血のはやりに息が荒い。

「コイツは知らねえ奴だ」「センシじゃねえぞ」「ハイローラー=サン、や、やっちまっていいですかい!」「……待て」ゲニン勢を制し、神経質そうに長い前髪を直しながら進み出たのは、マントを身に着けたニンジャだった。「見たところ、ニンジャソウル憑依者。侮るべからず。私に任せなさい」

「クッ……!」ヘラルドはハイローラーを睨み、なんとか身を起こした。敗北感に打ち震える時間すら、ブッダは与えぬものか。彼は拳を握りしめた。「ドーモ。ハイローラーです」ニンジャはアイサツした。「……ドーモ。ヘラルドです」エメツが振動し、装束がざわめく。

「その身なり、他所者。ケイトーに魂を売った愚者以下の惰弱文明人と見た」ハイローラーは侮蔑的に言った。「イクサへの参加資格すら無し! 死に給え! イヤーッ!」ハイローラーは残像を伴うほどの速さで懐からスリケンを投じた。「グワーッ!?」否、スリケンではない! ハナフダ・トランプである!

 スリケンを投げようとしていたヘラルドの腕をトランプが切り裂き、阻止!「イヤーッ!」「グワーッ!」さらなるトランプ投擲がヘラルドの膝を切り裂く!「イヤーッ!」「グワーッ!」回避しようとした先、包囲ゲニンがヘラルドをヤリで突く! アブナイ!「我がハナフダが占うお前の運命は……死!」

「我慢できねえ! ヒヤア!」ゲニンがヤリをしごいて横からヘラルドに襲いかかる!「イヤーッ!」「グワーッ!」ヘラルドは蹴りを食らわせ殺す! そこへ更なるハナフダ・トランプ攻撃!「グワーッ!」「生き汚い下郎め!」ハイローラーはかろうじて防御するヘラルドを罵った。「次でアカヨロシ!」

 ハイローラーはトランプをクロス投擲しようとした。「イヤーッ!」ZZZZAP!「グワーッ!?」しかしその投擲は阻害された。ヘラルドを庇うように、上空から着地したニンジャが、地面に緋の稲妻を走らせたのである!「「アババーッ!」」ゲニン達は焼魚めいて白目を沸騰させ痙攣死! ナムアミダブツ!

「グワーッ!」稲妻に怯んだハイローラーを、助太刀のニンジャは指差す。「今だ!」「……!」ヘラルドは地を蹴り、ハイローラーに襲いかかる!「イヤーッ!」「グワーッ!」腹!「イヤーッ!」「グワーッ!」断頭チョップ!「サヨナラ!」爆発四散!「注意せよ」助太刀ニンジャはヘラルドと背中合わせに立つ!

「き……貴様、何者だ」「そうだな……状況は混迷しておるゆえ、あまり詳しくは語れぬが」ニンジャは言った。「私には幾つか名前がある。スカーレットとでも呼んでもらおうか」「スカーレット=サンか」「礼を言ってくれても構わんのだが?」「……ヘラルドだ。なぜ、私を助けた」「フフ……通りすがりよ」

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