S3第5話【ドリームキャッチャー・ディジタル・リコン】#9
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ウォーマスターの爆発四散は、進撃の高揚に冷水を浴びせかけるが如き一撃であった。「スウー……フウーッ……」ニンジャスレイヤーは肩を揺らし、前傾姿勢で呼吸を繰り返した。ひとたびニンジャスレイヤーを飛び越したクロスファイアは馬首を返し、ガン・スピンからの銃撃を行う。BLAMBLAMN!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは銃弾を躱し、滑るように走り込む。クロスファイアの付近に潜んでいたカラテナキウサギがヤリで襲いかかる。彼は迎撃を強いられる。BLAM! BLAMN!「イイイイヤアアーッ!」ニンジャスレイヤーは飛びかかる!「イヤーッ!」KRAAASH! レベリングの大鎚攻撃!
「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは打撃を受け、横飛びに飛ばされて、小屋の石壁に衝突した。KRAAAASH!「ワンワー!」「ワンワオー!」稲穂の狭間からカラテクズリが飛び出しては引っ込む。「ヌウウウオオオオーッ!」レベリングは近視眼的な怒りに駆られ、それらを叩き潰そうと大鎚を振り下ろす!
「ワンワー!」カラテクズリが飛び出し、引っ込む!「ワンワー!」カラテナキウサギが飛び出し、引っ込む!「ワンワー!」カラテプレーリードッグが飛び出し、引っ込む!「ワンワー!」「イヤーッ!」「アバーッ!」ナムアミダブツ! レベリングはカラテビーストを攻撃しながら徐々に進む!
すると、「AAAARGH!」不意にレベリングの馬が叫び声をあげ、横倒しになった。危険なトラバサミに前足がかかったのだ。倒れた先には非人道兵器マキビシが埋め込まれている。「アバーッ!」「グワーッ!」レベリングは落馬し、自重に苦しんだ。「ワンワーッ!」手近のカラテビーストが追い打ちをかける!
「この! 不浄のインターネット知性に堕落したカラテビースト肉どもがーッ!」レベリングは襲いかかる獣を掴み、かち合わせ、殴り飛ばす。クロスファイアも同様、襲い来るカラテビーストに邪魔をされ、ニンジャスレイヤーに決定的な攻撃を行う事ができない。BRRRTTTT! ミニガン掃射までしてくる獣だ!
砕けた小屋の残骸で、ニンジャスレイヤーは身じろぎした。衝突の瞬間、咄嗟に彼は大槌を殴り返し、カラテを相殺してダメージを弱めた。それでもすぐには立ち上がれぬほどの威力だった。『感謝する、ニンジャスレイヤー=サン』彼のニューロンに届いたのはドリームキャッチャーの声だ。
『君はさきの時点で我らを見捨てて逃げる事もできたのではないか。それを……』(それでは約束の半分だ)ニンジャスレイヤーは手をついて立ち上がった。(逃げるべき連中を逃がす)『……ああ。そうだ。おかげで計画そのものは今のところ滞りなし。獣たちは引き続き君の援護をする』
BLAMBLAM!「アバーッ!」クロスファイアは撃ち返し、ミニガン掃射カラテウッドチャックの眉間を撃ち抜く。(獣を下がらせろ)ニンジャスレイヤーが念じた。(ニンジャには敵わんぞ)『いや、彼らとてここが正念場だ』ドリームキャッチャーは答えた。『私同様彼らも、友の為、この地の証の為に戦う』
「チィーッ!」クロスファイアはマキビシとトラバサミを馬に避けさせつつ、銃のリロードを行う。統制の取れた獣たちは思いもよらぬ驚異。ジョウゴ親王の兵団はウォーマスターを失って浮足立っている。殺せたリコナーの数は思いの外少ない。奴らはどこへ?(……この谷から逃げるつもりなのか?)そのとき、水晶アミュレットの通信あり!
(一度さがれ。クロスファイア=サン。レベリング=サンもだ)ファーネイスだった。(ジョウゴ親王が巨兵を動かす。上空のカムフラージュは消えた)「……」振り仰ぐと、たしかにカイト偵察兵が見える。(ついては、雑兵を慮る必要はなくなった)「……ナウジア=サンのジツの出番か」(そういう事だ!)
「レベリング=サン! 一雨くるぞ! 潮時だ」「否ッ! 敵は一歩すぐ前也!」レベリングは拒否した。「お前は俺の目を贖えはすまい。それができるのはニンジャスレイヤー肉よ! 奴は目と鼻の先だ! 今こそ必殺の機!」「勝手にするがいい」クロスファイアは即座に見切りをつけた。レベリングは実際それで平気な男だ。
「イヤーッ!」KRAAASH! レベリングは死んだ馬を踏み越え、損壊した家屋に突き進むと、建物ごとニンジャスレイヤーを槌で叩き潰しにかかる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは転がって回避! クロスファイアは彼らを背後に全速力で馬を走らせる! 雨が……降りはじめた!
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