【アイアン・アトラス・プレジデント!】#1
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「CEO」
「……」
「CEO?」
「……まずい……」
「CEO! 落下時刻です。CEO!」
「ンンッ?」
圧迫感のある夢から覚醒したヨロシ・サトルCEOはまず、己の見ていた夢の内容を思い出そうとした。しかし、その暇はなかった。彼のすぐ隣に、秘書のナインの緊迫した表情があった。
サトルは奇妙に思った。ナインは降下スーツに身を包み、ハーネスを装着している。それから己の姿を認識した。彼もまた降下スーツを身に着けている。次に、揺れと速度感を認識する。そして己を取り囲む鋼鉄を。ここは飛行艇……マグロツェッペリンの中だ!
「そうだった!」
サトルはハッとした。
「そうです? そ……そうです!」ナインは訝しみながら追認した。「CEO、ヨロシ・レイディアント・タワーの落成式上空からの降下とアイサツですよ! お気を確かに」
「そうだったな、ナイン=サン! なにも問題ない。備えは充分だ。自分の心配をし給え!」
「大丈夫ですか? 本当に? では……」
ブガー! 赤ランプが回転し、床が消失した! 底面ハッチが開いたのだ。眼下にひろがるのはネオサイタマ、ヨロシ区の光景!
「ヌウウッ!」
サトルは急激な気圧の変化に慄いた。3。2。1……デバイス解放! 落下!
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