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S3第7話【ナラク・ウィズイン】#6(分割版)

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◇全セクション版
◇関連エピソード:「ギア・ウィッチクラフト」

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「ガキめ! 貴様どうやって侵入した!」見回りから戻ってきたアカゾナエのゲニンが五重塔に飛び込んできた。「アイエッ!」ザックは尻もちをつき、涙目で後ずさった。「殺さないで! オイラ、腹が減って……!」「汚らしいガキめ!」ゲニンは容赦なくカタナを抜いた。「テウチにしてくれる」

 背後から手がのび、口を塞ぎ、首を締めた。ゲニンはもがきながら引きずられていった。「……」ザックが埃をはたいて立ち上がったところへ、フィルギアが戻ってきた。「すまんね。こんな事させて」「チョロいもんだぜ」「子供相手にカタナなんか振り回して、ゾッとする連中だな」「ここじゃ普通さ」

 フィルギアは既にC4爆弾の設置を終えていた。「さあ、おさらばするぞ」ザックを促し、五重塔を抜け出す。ザックはうつ伏せに倒れて動かない先程のゲニンを見た。「気にするな」フィルギアが前を向かせた。彼は手にした起爆装置を操作した。

 KRA-TOOOOOOM! 五重塔の根本で激しい爆発! 崩壊が始まる!「うおおッ!」フィルギアは驚き、己の行いを振り返った。五重塔は粉塵と黒紫の火を噴き漏らしながら、自重で潰れてゆく。脆いものだ……!「トムの奴! スッゲエな……」

 と、その時だ。北の方角で、轟音とともに、同様の黒紫の火柱が噴き上がった。「……あっちも、キマったか」「あ……後はコトブキ姉ちゃんだよね。うまくいくかな……」「コトブキ=サンは利発で素早い。平気さ」フィルギアは請け合った。「これで連中、大騒ぎになってくれるといいけどな……」フィルギアはザックの肩を叩いた……その時だ。大地が鳴動した。

 フィルギアはゴマグラウンド方向を振り仰いだ。まず彼が見たのは、銀の光の柱が空に立ち上るさまだった。神秘的な銀の光は、彼が見守る中で……にわかに、赤黒く禍々しい色彩に変じた。フィルギアは口をぽかんと開けた。DOOOOM……震動を伴い、彼が見守る中、ゴマグラウンドの地面が隆起し始めた。


◆◆◆


「爆発!?」「何だ」「デアエ……」チューニンやゲニンが泡を食って互いに顔を見合わせる。ブオウ、ブオウー! 法螺貝が鳴り響き、ゴマグラウンド外周部のゲニン達は東西南北の五重塔になだれ出ていった。「アア……ンン、まあ想定内だ」ケイトー・ニンジャは咳払いし、オベリスクに向き直った。

 手にしたボーをオベリスクに向ける。その背を守るように動くのは、彼が買収や弁舌によって寝返らせたニンジャ達である。「恥知らずどもめ!」親王部下の1人、ディスバンドが怒りに震えて指差した。裏切りニンジャの1人、バグズアイが嘲笑を返した。「キヒヒヒ! 機を見るに敏よ! 時流を読め!」

「然りよ。ケイトー=サンは力に溢れたリアルニンジャであるぞ」スクリーミングスカルがバグズアイに並んだ。「太古の昔にはダイコク・ニンジャを計略にて討ち取り、ついこの前も高慢ちきなブラド・ニンジャを手玉に取りし生ける伝説。それがケイトー=サンよ。彼について行く事こそイサオシなのだ」

「そもそも俺のような勇将が寝返った事実が重く、それ自体がケイトー=サンの素晴らしさの証明だと何故わからんのかね?」サノバガンが笑うと、デッドリーパープルが鼻を鳴らした。「それを言うなら俺のほうが実力があり、嘆くべき人材流出そのものよ」「ハァーハハハ!」なんたる下劣な罵倒か!

「デス・ハイクはそれで十分か。下郎ども……!」クセツが低く言った。彼はネガティヴ・カラテの力で宙に浮かび、掲げた両手の上にネザーカトンの火球を育てていた。「アハア! アハア! 君の怒りは尤もだが、もう少し待ち給え!」ケイトーは言った。「我が儀式はいま少しプロセスを残している! 君らにとっても儀式成就は必要だろう?」

「イヤーッ!」親王部下のアンシーンがスリケンを投擲!「イヤーッ!」デッドリーパープルはスリケンをチョップで撃ち落とした。「閣下が待てと言っているだろうが。愚か者め」彼は勝ち誇った。「このゴマグラウンドに、閣下の塾生は我ら4人ばかりと思わぬが良いぞ」

「さて、目覚めよ!」クローザーは手にしたボーを地面に叩きつけた! KRAAASH! ギンカクの外殻が跳ね跳んだ。そして光り輝く内芯が……ドロリとした赤黒に染まった。アンシーン達は親王を守るように陣を組んだ。クセツは攻撃を留まった。「何をした。ケイトーよ」「始まるのだよ」DOOOOM! 地鳴り!

 ランダムな亀裂が地面を四方八方に割った。「ヌウウッ!」「これは!」「デアエ!」センシ達が身構え、ゲニン達が狼狽える。KRAAACK……! 亀裂が上下にスライドし、裂けた地盤があべこべに隆起し始めた。特に、ギンカク周辺の地面はひときわ高く、ゆっくりと持ち上がってゆく……!

「ヌウーッ……!」ジョウゴ親王は沈みゆく崖下を見下ろした。「アバーッ!」足を滑らせたゲニンが真っ逆さまに落ち、地面に叩きつけられた。このゴマグラウンドに突然の地殻変動が起ころうとしていた! そしてその中央! オベリスクであった光芯はもはや融解し、邪悪な不定形の黒炎と化していた!

「アハア、アハア、アハア! 来た、来た、来た、来たぞ! これぞ忌まわしきモータルフレイムの精髄也!」ケイトーは快哉した。溶けた黒炎は沸騰し、舌を踊らせ、ドロドロと粘りながら燃えて、そこに幾多の苦悶する人の顔じみた影が見え隠れし、融合し、また分かれながら吠えるのだった。「オオオオ……」

「なんと素晴らしい! ゾッとさせられる!」ケイトーは胸を反らせた。その演技的なさまを守るのはサノバガン達、裏切りのニンジャである。彼らは親王部下のニンジャによる散発的な攻撃を防ぎ、この邪悪儀式のつつがない進行を維持していた。親王は憎悪に目をすがめた。「我が力……!」

「イヤーッ!」ケイトーは手にしたボーにカラテを漲らせた。緋色の稲妻をまとったそれを、混沌の黒炎に突き刺した!「イイイイヤアアーッ!」さながら飴細工職人めいて黒炎をかき混ぜる! 絡め取ろうとするのはいかなる力か!?「オオオオオ」黒炎は呻き、ケイトーは笑いを深める!「クキキキィー!」

 黒炎はケイトーにのしかかろうと伸びるが、ケイトーはボー捌きでその火をいなし、絡め取り、不穏な己の目的を果たそうとするのだった。彼の目はギラギラと輝いていた。そして……「「イヤーッ!」」ボーが弾かれ、彼の手を離れて宙を跳んだ。ケイトーは訝しみ、空を振り返って、ボーを引き寄せた。

 再びボーを手にした彼は、黒炎のわだかまりの前でアグラする朧な銀の姿を前に、顔をしかめた。突如あらわれたその者が、ケイトーのボーを弾いたのだ。ケイトーは顎をさする。「ンンー……なにか気に入らないアトモスフィアがあるな。ナラクではないな? 貴公」「無論だ」アグラする男は答えた。

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