TRPGニンジャマスターガイド2:「サンプルシナリオ1」のマスタリングのコツ
◇TRPG総合目次へ
これは「ニンジャスレイヤーTPRG」をプレイしたことがある人や、これから初めてニンジャマスターとしてゲームに挑もうと思っている人のために書かれたコラム記事です。追加のゲームルールなどをまとめた「プラグイン」シリーズとは異なり、ここでは主にマスタリングの指針やプレイング環境など、ゼンモンドーめいたコラムを取り扱います。
この記事は初版ルールブック時代に書かれたものなので、現在の版とは用語など細部が異なっている場合もありますが、主題は「どのように臨機応変にマスタリングするか」なので、そうした細かな違いは特に気にしなくても大丈夫です!
「サンプルシナリオ1」のマスタリングのコツ
やあ、フィリップ・N・モーゼズだよ。僕のニンジャスレイヤーTRPGをプレイしてくれてありがとう。今までRPGをやったことがない人も、大勢このゲームを始めたと聞いて、とてもうれしいよ! でもその反面、このゲームはまだ初版で、あまり親切とは言いがたく、とにかく一番大切な部分だけをどんどん作っているところだから、細かい部分については説明がおざなりになっていて、ある程度ゲーム経験や原作知識のある人向けのハードコアな仕様になっちゃってるのも確かだ(ごめんね)。
そこで今日は、ニンジャスレイヤーTRPGが初めてのマスター体験となる人のために、「サンプルシナリオ1:ヤクザの事務所」を題材として、具体的なハンドリングのアドバイスをいくつか思いつくままに書いてみたよ。
所要時間はどのくらい? オンライン環境なら2倍だ!
NMにとって最も重要な仕事のひとつは、濃密やストーリーテリングや正確無比なルール運用よりもまず先に、皆が楽しめる場と雰囲気を作り維持すること、そして「タイムキーピング」だ。
時間管理をうまくやらないと、それ以外の部分をどれだけ頑張っても、君の頑張りの効果は半減してしまう。君は熟練のDJのように、プレイヤーたちの盛り上がりや体力を見ながらセッションのスピードに緩急をつけ、そして「ダレそうな予感がしてきたら即座に手を打つ」ことが大切となる。とにかくこのゲームでは、軽快なテンポと想像力が何よりも重要なんだ。
まずは、全体の所要時間がどのくらいかかるのか見積もってみよう。安全にいくなら、事前にチュートリアルのトレーニンググラウンド戦闘演習を行い、どのくらいかかるかを確かめてみるのもいいね。
そして「これからプレイするのがオンライン環境なのかオフライン環境なのか」も、実はとても重要な要素だ。なぜかというと、本書のシナリオ1と2はどちらも、オフライン環境でプレイすることを想定して書かれている。そして、まだルールに不慣れなグループでプレイするならば、だいたい2〜3時間くらいかかるだろうと想定している。僕ならば、オンラインセッションは少なくとも2倍以上の時間がかかると見積もるだろう。つまりオフラインで2〜3時間のシナリオということは、オンラインならば4〜6時間、テキストチャットベースならばそれ以上かかる可能性がある、ということだ。
【❗️重要❗️】:オンライン環境は本来の2倍以上の時間を覚悟する。
6時間!? そう、これは冗談なんかじゃないよ。特にオンラインセッションは、長引けば長引くほどどんどん脳みそが疲れていくから、6時間を超え始めたら8時間くらいかかることを覚悟したほうがいいし、そうなりそうなら、適度なところで前後編に分割するのがいいだろう。もしくは、最初から要素を少なくしてしまうことだ。「エッ!? そんなに要素を少なくしたら、物足りなくてつまらないと思われるのでは!?」と思う人もいるかもしれないが、実はそんなことは全くない。
それよりも重要なのは「集中力」だ。このゲームの満足度は、ダイスを振った回数には特に比例しないことが僕の調査によって明らかになっている。だから「物足りないんじゃないかな?」と心配すぎる必要は全くない。それよりもプレイグループの「想像力×集中力×コミュニケーション」の掛け算が大事だ。コマを動かしたりダイスを振ることは、それを円滑に進めるための手段や潤滑油にすぎない。
僕はこのRPGのために、オンライン用のソロアドベンチャーシナリオを3本ほど書いたけど、舞台設定と進行管理さえしっかりしてあれば、実は3回程度の戦闘(1回は楽勝、2回目はヒヤリ、3回目は死の危険)でも、十分なワクワク感と満足感を喚起できるはずだよ。
集中力が減り始める前に手を打とう
ある程度ゲームに慣れてくると、キャラビルドの楽しさとかボードゲーム的な駆け引きの面白さや満足度も出てくるかもしれないが、それでもニンジャスレイヤーRPGの最も根幹にあるのは「想像力×集中力×コミュニケーション」の計算式だ。特にまだルールに不慣れなうちは、この3つに終始すると言ってもいい。ルールを把握してくると、ゲームのメカニズムのほうが面白くなってくる人もいると思うけど、それを超えてゼンめいた境地に達すると、再びこの3つに立ち戻る。
これは別に、ニンジャスレイヤーTRPGがメカニズムや対戦の面白さを軽視してるという意味ではまったくない。僕自身もそれが好きだ。ただ、上記の計算式にメカニズムや攻略の楽しさを入れたとしても、この3つの要素は依然として重要であることがわかるよね(メカニズムや攻略の楽しみを何倍にもしてくれるわけだ)。だから、まずこの3つがしっかりできていれば、君は多少ルールを間違ったって何も問題ない。戦闘がほんの数回でも、この3つさえあれば楽しさが最高潮になる。これは本当だよ。戦闘があまりに多くなりすぎて描写もおざなりになってくると、それはそれで想像力も集中力も減っていくからね。何事もバランスが大事だ。ゼンの考えだよ。
そして想像力をフルで使うためには、集中力が持続している必要がある。この限界を超えると、セッションは途端にダレ始め、眠くなり、それは他のプレイヤーにも連鎖し、処理的な動きやコミュニケーション不全が増えてきてしまうおそれがあるからだ。だからこの危険域に行かないよう、NMは時間をうまくコントロールする必要がある。
では実際、間にそれほど長い休憩を入れないとしたら、どのくらいの時間なら想像力と集中力を維持できるだろう? これは君のプレイグループ次第だけれど、みんなでピザをつまみながら映画を一本鑑賞する程度……つまり2〜3時間くらいじゃないかな、と僕個人は考えている。だから僕の作るシナリオは基本的に、オフラインでそのくらいの長さを目指している。
しかし聞いたところ、日本でのニンジャスレイヤーTRPGの主戦場はオンラインとのことだ。つまり2倍以上の時間がかかってしまう! でも大丈夫、これに対する手っ取り早い解決策は2つある。
解決策1:最初からシナリオの2分割を前提にして、どこか区切りのいいところで中断し、「後編はまた明日!」とかにする。もしくは食事をとったりして、数時間単位の十分な休憩を挟んでから再開する。
解決策2:要素を減らして2〜3時間の尺にうまくまとめる。
解決策1でいくなら、おそらく理想的な分割ポイントは、③の部屋での重サイバネ・オイランアサシン「ミコチ」との戦闘だろう。彼女は『ボス級の敵』だから、中ボス戦としてシナリオに一区切りつけるのにも最適だ。では解決策2でいくなら、どこをどのように省略するのがいいだろうか?
シナリオの省略:ゼンめいたミニマルさを目指そう
じゃあ具体的に、まだルールに慣れていないプレイグループのオンラインで「シナリオ1:ヤクザの事務所」をプレイするとしたら、どこをどのように調整していけばいいかを、つらつらと書いていってみよう。「僕ならこんな風にシナリオを省略するぞ」という実例だ。
部屋数や戦闘数を減らせ!:部屋3、4、5は無しにしよう。UNIXロックドアは存在するが、すぐには解除を試みることができず、シナリオクリア後に時間が余っていたら「事務所内を探索してみよう」という形で先に進めるようにすればよい。部屋5自体は入れるが、中にスモトリは居ないことにする。ここでは戦利品としてカケジクなどを奪ったり、いくつか追加の情報を得られるだけにする。
戦力の調整:このシナリオは作りたての3〜4人のPCニンジャでプレイすることを想定している(ジツ持ちが1〜2人くらいいる想定だ)。そして「2人でプレイする場合は戦力の調整が必要だ」と書いてある。つまり、ダイスロールで微妙な強さのニンジャが3〜4人生み出されてしまった場合も、戦力を減らすべきだろう。具体的には以下のようになる:
・部屋1のクローンヤクザ数は4〜6体にする(カトン・ジツ持ちがいるならば6人でいい)。
・部屋3を活かすならば、ヤクザは不要だ。オイランアサシンだけでいい。上で書いた通りシナリオクリア後でなければ行けないことにしてもいい。
・部屋5を活かすならば、スモトリは1体にする。上で書いた通り、スモトリはそもそも全くいないことにしてもいい。
・ブラックマンバの【カラテ】を4、【体力】を6にする。
・キヨシの【カラテ】を2、【体力】を4にする。
・ブラックマンバは、自分が1ダメージ以上受けており、かつキヨシが死んでいるならば、いつでも撤退しうる(このことをプレイヤーには直接は伝えない)。
【❗️重要❗️】:ブラックマンバを倒さずにシナリオクリアできる伏線を、ストーリーテリングや探索でちゃんと作っておく。
ブラックマンバは強敵だな!
このシナリオの最難関は、間違いなくブラックマンバだ。君がもしある程度マスター慣れしていれば、PCたちの能力値を見た時点で「うーん、これは勝てないな」もしくは「うーん、これは相当な長期戦になるぞ」というのが解るはずだ。そして、シナリオ開始前に適切に戦力を調整してからゲーム開始もできるだろう。ただ、そうしたアドリブでの戦力調整は、慣れないとなかなか難しい。
それよりも遥かに安全で、かつ、プレイヤーの満足度も高い方法がある。それは「ブラックマンバを倒さなくてもクリアできる」ように、初めから十分な伏線を張っておくことだ。つまりこれは、探索やストーリーテリングの要素によって、クリア条件につながるヒントや背景をより強調したり、明確化することだ。これならは、プレイヤーから見ても「自分たちがちゃんといろいろな部屋で調査をして、状況判断をしたから、ブラックマンバを倒さなくてもクリアできたんだな」と思えるから、満足度も高い。実際、シナリオの設定的にもそうなっているから自然だ。
では具体的に、どうやれば自然な形で、かつゲーム的にもストーリー的にも興奮や盛り上がりを維持したまま、ブラックマンバを退却させられるだろうか? シナリオ内にはいくつものヒントが書いてある。例えば以下のような要素が、ダンゴウやシナリオ内に明記されている。そこから導き出される攻略のヒントが➡︎である。
・ブラックマンバは雇われた傭兵で、このヤクザクランの所属ではない。
➡︎ブラックマンバは組織のために命をかける義理は無い?
➡︎雇い主であるキヨシを殺せば撤退する可能性が高い?
・重オイランアサシンの「ミコチ」も傭兵であり、彼女は戦況不利と見ればすぐに窓から逃げる。
➡︎つまり、ニンジャであっても同じ傭兵という立場のブラックマンバも、好ましく無い状況になれば、彼女のように逃げる可能性が高い?
他に、どんなところから攻略のヒントを与えられるだろう? 可能なら、ブラックマンバの強さや使うジツ、キヨシとブラックマンバの関係性などについても、事前にある程度ヒントを与えられるとなお良いね。ストーリーへの興味や想像力もかき立てられる。
もし部屋数を省略していたら、部屋3にいるオイランアサシンとは出会えないので、部屋5のドージョーか、部屋6の囚われのオイランが適切だろう。これら2つの部屋は立ち寄らなくてもクリアできるので、あえて探索したことが攻略のヒントにつながるため、プレイヤーにも満足度も得てもらいやすいはずだ。例えば、このようなアイディアが考えられる。
・部屋5のドージョー
➡︎ドージョーはニンジャの巣のようなものだ。PCたちが室内を調べると、ニンジャがトレーニングを行った痕がある。間違いなくこの事務所のどこかにニンジャがいることが裏付けられる。
➡︎その痕をさらによく調べると、傷ついた畳や壁が毒液で腐食しているのが解る。敵はドク系のジツを使うのかもしれないし、少なくとも手練れであることが解る。
・部屋6の囚われのオイラン「スズリ」
➡︎彼女と適切に会話できれば、PCたちに対してブラックマンバのジツの恐ろしさを震えながら語ってくれるかもしれない。あるいは、ブラックマンバのコブラ・カラテやドク・スリケンなどを食らって死んだ者たちの話なども聞けるかもしれない(「犠牲者は次のターンに毒の追加ダメージを1受けて死んだんです」みたいなメタ的な話じゃなく、あくまでもオイラン視点の簡単な描写で示そう)。
➡︎この事務所のボスであるキヨシの気質について、ヒントを与えてくれるかもしれない。例えば「キヨシは気性が荒く、たとえ自分ひとりになっても死ぬまで戦うどころか、さらに凶暴になる」(つまり先にブラックマンバを殺すと手強くなる)とか「ブラックマンバはあくまでカネのために動く傭兵であり、このヤクザクランの伝統や文化なども軽視しているようだ」(つまり雇い主が殺されて金を得る目論見が崩れたなら、速やかに退却する可能性がある)などである。
ブラックマンバは、NMがどんなキャラ性でも付与できるように、敢えてあまり細かい設定を書いていないので、ストーリーテリングのチャンスがあると思ったらどんどん自由に発展させてみよう。このシナリオ内で決着をつける必要はない。PCたちと因縁を作ってライバル関係にして、今後も何度か登場することにしても面白いだろう。
また、これらの情報をIRCで聞けば、ソニックブームは強い興味を抱くだろう。そしてこの傭兵ニンジャに対して「思っていたよりも厄介なニンジャのようだ」と適切な戦力再評価を行い、IRC通信を使ってPCたちと作戦を立て直そうとするかもしれない。これはブラックマンバを「殺さなくてはいけない相手」ではなく「仕留められれば追加ボーナス」という形に目標再設定するいいチャンスだ。
PCたちがオンラインでの作戦会議に不慣れのようならば、ソニックブームやスズリとの会話を使って「キヨシさえ倒せば、ブラックマンバは状況判断で逃げ出すかもしれない」ところまでヒントを与えたっていいだろう。実際、スズリは助かるために必死だ。死に物狂いならば、そのくらいの案くらいは容易に思い付くだろう。シナリオ内にも書かれている通り、このシナリオではメンター役のNPCであるソニックブームがいつでもIRCでナビをしてくれることになっているから、どちらでも大丈夫だ。
もしくは最後のチャンスとして、キヨシとともにブラックマンバが初登場した時のロールプレイで、ブラックマンバがあくまでも傭兵、用心棒的な立場にあることを、セリフなどで印象付けておくといい。
どうしてもPCたちにうまく情報を与えることが出来ないまま戦闘に入ってしまい、案の定これはまずい、長引きそうだぞと思ったら、ソニックブームからの緊急IRC通信で随時ヒントを与えればいい。それは例えば以下のようなヒントだ。
・カナシバリにかけられた仲間は、出来るだけ射線を遮ってりして守ってやる。あるいはそもそも、マンバから射線の通るところに盾役ではないPCを置かないようにする。
・先にザコのクローンヤクザを倒しておく。そうすれば万が一カナシバリにかけられたとしても、ターンの最後に蜂の巣にされる危険が減る。
・そして最も重要なのは、ブラックマンバがただの傭兵ニンジャに過ぎず、金の支払い主であるキヨシを殺せば撤退する可能性があることを伝えてあげることだ。
ここで大事なのは、プレイヤーから「僕らが苦戦していたせいで、シナリオには書いてないんだけど、マスター判断でマンバを撤退させたのかなあ……?」と思われないようにすることだ(実際、ロールプレイ重視のアドリブ要素が多いシナリオだったら、そんなのはよくあることなんだけど、できるだけその手の内を見せないようにするのも大事だ)。
少しでもいいから、プレイヤーたち自身が探索の中やロールプレイの中から「キヨシこそが真の最優先目標だ」ということを見つけ出していれば、これは十分に達成感に繋がるはずだ。そのためには、プレイヤー1人だけでなく全員が「なるほどな」と合点がいっていたほうがいいし、そういう意味でも、こうした伏線やクリアに関わる情報は、分かりやすければ分かりやすいほどいい。
君はマスターで話の筋の全貌が見えている。でもプレイヤーたちは真っ暗闇の中を進んでいるんだ。特にルールに不慣れなうちは、プレイヤーたちもダイスを振ることや、修正値を覚えようとしたりすることだけに頭がいってしまいがちだ。だから「エッ?! こんな簡単だとプレイヤーたちに物足りないと思われそう!」というくらいが、実はちょうどいい。情報についても「エッ!?こんなにわかりやすくプレイヤーたちに情報を与えちゃったら簡単すぎると思われちゃいそう!」と思うくらいがじつはちょうどいいんだ。プレイヤーとNMを何度も経験すると、きっとそのあたりのさじ加減もわかってくるはずだよ!
何よりミニマルさが重要だ。そしてプレイヤーの想像力をかきたて、情報はこれでもかというくらい惜しみなく渡そう。かつ、テンポを最優先にして、皆がダレはじめていないか全体を見渡したり、時計の針を何度もチェックしよう!
まとめ:他にも使える手は全部使おう
……さあ、ざっとこんなところだろう! 以上でサンプルシナリオ1のマスタリングガイドは終了だ! ブラックマンバ撤退のための伏線を張っておけば、泥沼化の事故はかなり起こりにくいはずだ!
これ以外にも、シナリオ内に書かれたテンポアップのための工夫、たとえば「アトモスフィアのハード化」や「非戦闘時は【脚力】に関わらず移動できるマスを無制限にする」や、あるいは「獲得した【万札】は全部プールしておき、最後にPCの間で山分けする。倒した敵からは拾わずとも即座に【万札】を得られる」などの要素をできるだけ全部ONにしてやってみよう!
スピーディに戦闘を進めるために、ダメージが入っていようといまいと、ボス戦ではつねに3ターン目からアトモスフィアがHARDに、4ターン目からU-HARDにしたっていい。実際、普段のゲームでもアトモスフィアの切り替えはNMの任意だし、僕ならそうするね(例えば、ストーリー的に極め付けに危険なアトモスフィアが場を支配したなら、いきなりアトモスフィアをHARDにしたって問題はないのだ)。
他にも、シナリオ内の戦闘回数やダイスロールの回数、そして分岐点などはできるだけ少なめにして、後からいくらでも臨機応変に盛れるようにするのが、オンラインセッション向けのシナリオ準備では重要だ。プレイヤーの意思決定や選択肢の回数はあまり減らさず、ダイスロールの場面を減らすように調整しておくといいだろう。敵の増援はいくらでも後から入れられる(実際シナリオにもオプションとして書いてある)。最初に多すぎる要素を見せておいて「尺が足りなくて巻に入られちゃったな」とプレイヤーに感じられるよりも、最低限の要素だけでシナリオクリアまでは行けるようにして、そこにどんどん足してエスカレートしていく方が、満足感も生まれやすいはずだ。
失敗もいいものだ
それと、マスタリングに失敗はつきものだ。誰もが一度は、ダレにダレまくったものすごい長時間セッションを体験したことがあるはずだし、僕も昔はそうして仲間たちと朝焼けを迎えた事すらある(何度も)。あるいは3時間のつもりが30分で終わってしまうこともあるだろう(基本ルールブック環境のゲームならとても軽いから、こういう時はキャラを作り直してもう1回プレイしたっていいだろう)。
もちろん失敗はしない方がいいし、次はどうしたらもっと上手くできるか、どうしたらもっと皆を楽しませられるか、と気楽に考えてどんどん前に進んでいくべきなんだけど、それはそれとして、失敗もまたいい思い出であり学びでもある。だから、失敗を恐れずにゲームを楽しんで欲しい。「どれだけミニマルにすればいいのか?」「どのくらいの尺が適切なのか?」というのはプレイグループの好みやスタイル次第だし、実際に試行錯誤をしてみないとわからないものだからだ。
「少しでも失敗したらもう二度と遊んでくれないのでは……?」「30分で終わったり9時間かかってしまったら、ニンジャスレイヤー自体に悪い印象を持たれたり、嫌われてしまうのでは……?」などと心配になる必要はない。何故なら君は、そもそもニンジャマスターセクションでの教えに従って、そういう気心知れたメンツを集めたはずだからだ。そうでなかったとしても、君がニンジャマスターセクションに書いてあることを守り、ラブとリスペクトの精神でマスタリングをしていたならば、奥ゆかしい仲間たちは、きっと君の挑戦に「良い」を押してくれるだろう!
(P・N・モーゼズ)
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?