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【グランス・オブ・マザーカース】第1部

この小説はTwitter連載時のログをそのままアーカイブしたものであり、誤字脱字などの修正は基本的に行っていません。このエピソードの加筆修正版は、複数の物理書籍に収録されています。

このエピソードの掲載は変則的なスケジュールがとられており、後半のセクションは第2部において出現しました。今回は第1部時点で掲載された部分のみをまとめています。


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【グランス・オブ・マザーカース】

1

 ノビドメ・シェード・ディストリクトの快楽運河は不夜の砦であり、この夜もまた、酔漢やオイラン、マイコの矯声や、呼び込み人、スカウトマンの粘ついた声が飛び交うネオンの混沌であった。

「アカチャン!オッキク、ダシテー」「バリキトカ!」けたたましい広告音声は水面に波紋を広げ、降り立つバイオカモがバイオネギの中へと分け入っていく。

「10枚千円!」「チキビ!」「ヤルネー」屋形船は拡声器で扇情的な文言を投げつけ、夜空に緑のレーザーアートでタカシマダ・オイランが淫靡に絡み合う様を描いていく。

 その緑の明かりから身を隠すように、脇道へ足早に入ってゆく人影がひとつ。ハンチング帽とトレンチコートを着た男は、やや荒く息を吐きながら、影の深いところを選んで進むのである。

 よく太ったネズミがゴミ箱の中から飛び出し、男を睨んで走り去った。はるか上空ではバラバラというヘリコプターの通過音。無機質なビルは高く、切り取られた空は狭い。

「あんた」呼びかけられた声に男は足を止める。声は脇道のさらに脇、うねくり曲がる獣道めいた路地からであった。男の全身から、それまで押さえ込んでいた殺気が解き放たれた。

「あんた、お悩みだね?」路地の闇から老いた声が届く。「騙されたと思って、占わせてみないかい」男……ニンジャスレイヤー=フジキドは、一瞬の躊躇ののち、路地の奥へ決然と歩き出した。先程の戦闘の目撃者であれば、捨ておけぬ。ニンジャであれば即座に殺すつもりであった。

「そうカッカしたものじゃない……アタシがきっと、あんたの悩みを取り除く助けになれるはずさ、きっとね、アッヒヒヒ!」「どこだ」フジキドはうねくる路地を足早に突き進んだ。首の後ろにチリチリとした感覚がある。あまりにも馴染み深い感覚だ。ニンジャソウルの存在を感じ取っているのだ。

「ようぞ来た、ようぞ来なすったね」闇の中に、汚い衣類を山のように重ね着した巨大な老婆の姿が浮かび上がった。「お疲れだろう、あンたときたら血の匂いを振り撒いて、地獄の猟犬かい。いつものように無残に殺したのかい?アッヒヒヒ!」老婆は耳障りに笑った。ニンジャスレイヤーはカラテを構えた。

「物騒だよ!」老婆は言った。「アタシはあンたと事を構えたくないンだ、間違えちゃいけないよ……」ニンジャスレイヤーは頭上に眩しく輝く月が現れた事に気づいた。金色で四角い月が。……四角い月?

ニンジャスレイヤーは周囲を見回した。何かがおかしい。ここはノビドメ・シェード・ディストリクトの路地裏であり、彼を囲むこの壁は雑居ビルのコンクリートであるはずだ。ニンジャスレイヤーは黒く滑らかな壁に触れた。すると、見よ!緑色の格子模様が波紋めいてスパークし、壁面を散っていったのだ。

「これは!」いつのまにジツにかけられたのか!天を仰げば、黒い空を緑色の流星群が流れ、金色の構造物は厳かにゆっくりと回転する……!「アッヒヒヒ!案ずる事は無いンだよ!」老婆の声がエコーし、ニューロンに滑り込む。

「おのれ謀ったか。だが幻覚ごときに屈する私ではない……ソウカイヤのニンジャめ、まずは名を名乗るがいい!」「ファー、ファー、ファー、ソウカイヤとは何ぞや、ソウカイヤとは!」老婆の笑い声が反響した。「アタシャ、ソウカイヤでもなければ、ここは幻覚でも夢でも無いよ!」

 老婆は10フィートを越す巨体である。その肩にカラスが飛び来たり、留まる。「ドーモ、アタシャ、バーバヤガっていうンだ。あンたの中の邪悪を占ってやりたかったのさ。今あンたが見ているのは魂の地平、真実の地平!見えるだろ、アタシが見えるようにしてやってるンだ。ここはアタシが管理する地さ」

「ドーモ、バーバヤガ=サン。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーはオジギで応えた。「オヌシの言っている事は何一つわからんぞ!」「アッヒヒ!わからンのは仕方のない事だよ!才能が要るんだ!あるいは訓練がね!」

 バーバヤガは人差し指をニンジャスレイヤーに向けた。指はぐいぐいと非現実的に伸び、ニンジャスレイヤーの鼻先に突きつけられる。「あンたの中の邪悪の名前を教えてやろう。そ奴の名前はナラク・ニンジャだ」 「何?」「このアタシでも多くは知らない存在さ、用心するがいいよ、アッヒヒヒ!」

「オヌシは何者だ!何の目的で私にこんな真似をする」「だから、占いだよ、お若いの。ふさがれた目を開いてやろうと思ッたのさ。あンたが今こうして触れている世界。今はアタシがあンたを連れてきて、見せている。それをアタシの力無しでも認識できるように、ニューロンを開いてやろうというのさ」

 ニンジャスレイヤーは突きつけられた指を跳ね除けようとした。だが不思議な距離間の錯覚めいて、指に触れる事ができない。「狙いはなんだ、バーバヤガ=サン。なぜそんな事をする」老婆のニヤニヤ笑いが消えた。「……いずれ、必要だからさ」

「必要?」「いずれ、あンたの中のナラク・ニンジャによって、あのキンカク・テンプルを00101010101010000」老婆の話は砂嵐めいたノイズの爆発によっていきなり遮られた。「おや000101001この邪魔は00101000いけないね、」黒い壁のあちこちに緑の亀裂が入る。

 亀裂の向こうには格子状の緑の光の小宇宙が無限に広がる。「これは00001001001001」バーバヤガの顔の左半分が閃光とともに爆発する。「邪魔者0010010010」バーバヤガは不自由そうに口を動かす、「話は後だ、アタシはまたどうにか0010身を守れ、とにかく00000」

「なんだと?」ニンジャスレイヤーは詰め寄ろうとする。バーバヤガの腹から緑のパルスが噴出する。「いいかいあンたは実体ごとここへ来10010だからあンたを縛るものは何も無い、同時にそれはリスク00110仮にハッカーどもにKickでもされればあンたは消00101気をつけ101また後、」

 閃光とともにバーバヤガがノイズとなって爆発四散した!「グワーッ!」いまやニンジャスレイヤーは緑の亀裂が駆け巡る暗黒の谷底に、独り、取り残されていた。頭上では四角い黄金の構造物がゆっくりと回転している。



2

 ニンジャスレイヤーは考えを巡らせる。彼は先程ノビドメ・シェード・ディストリクトにおいて、マイコセンター「アハン風味」一帯をガス攻撃しようとしたソウカイ・ニンジャ「コラプション」の企みをナンシー・リーとの共闘で未然に防いだ。コラプションはニンジャスレイヤーに首をはねられ死んだのだ。

 コラプションが無残に爆発四散したのち、ニンジャスレイヤーはしめやかにこの地域を後にしようとしていた。その時に……。

 140秒前!

 コラプションが設置したマスタードガス・ボンボリ全ての機能停止とネットワーク切断を確認し終えたナンシーは、ネットワークをログオフすべく、痕跡偽装の作業にかかろうとしていた。サイバネ端子からLANケーブルを引き抜くにはまだもう一仕事あるのだ。

 幾分リラックスしかかったナンシーはそのとき不意に、啓示めいた胸騒ぎを覚えた。ニンジャスレイヤーのIDへ意識を傾ける。「……なぜ?」跳ね返って来たping反応は、ニンジャスレイヤーがネットワーク上にログインしたままである事を知った。いや、正確にはログオフしたのち再ログインしている。

 そして何より不可解なのは、pingを返すニンジャスレイヤーのIPアドレスである。「888.888.888.888」……こんなアドレスは存在し得ないのだ。IRCクライアントの不具合なのか?

 ナンシーはニューロンをブーストし、電撃的速度で自身のハッキングの痕跡を偽装し終えた。その所要時間、11秒!なんたるタイピング速度!これは通常時の彼女の四倍の手際である!そして彼女はニンジャスレイヤーのアカウントへ向けて追跡のジャンプを試みる!

 ナンシーはニンジャスレイヤーの目の前にjoinした。彼女は全身に吸い付くような銀色のスーツを身につけた姿をとった。見慣れた赤黒い装束のニンジャスレイヤーはナンシーの存在を素早く認識した。ナンシーは二人を囲む暗黒の谷を見渡した。「これは……どういう事?」

「ナンシー=サン?」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。「どうやってここへ」「どうッて……」ナンシーは訝った。彼の言動からは、彼女が見る電子コトダマイメージを彼もまた見ているという事が伺える。

 IRC事象を可視化した電子コトダマイメージを知覚できるのは、生体LAN端子を持ち超人的なタイピング速度を有する上位のハッカーのみだ。キーボード・タイピングとニューロンのスパークが相互に影響し、脳内に展開する電子的イメージ……その地平を見るほどのタイピング速度は、彼には無いはず。

「あなた、これが見えているの?」「この不可解な世界か」「どこからアクセスを」「アクセス?……私はノビドメ・シェード・ディストリクトを移動中だった。そこへバーバヤガと名乗る老婆が現れ、ここへ連れて来られた。ナンシー=サンこそ、どうやってここへ来たのだ」

「バーバヤガ……?」ナンシーは首を傾げた。ニンジャスレイヤーは何かおかしな精神状態にあるのか?だがしかし彼個人にもたらされた単なる幻覚やトラップでは、彼の「存在しないIPアドレス」の説明がつかない。「そのバーバヤガとやらが、あなたをここへ?」「……そうらしいがな。まるでわからぬ」

「イチから説明するっていうのは、だいぶ骨なんだけど……」ナンシーは言葉を選びながら、「可視化されたネットワークに、今あなたは触れている。理由はわからないけど、あなたは今IRCにログインしているのよ」「……。では、そのように考える事にする」ニンジャスレイヤーは冷静に言った。

「そうなると、私は現在どこからアクセスしているのだ」「それが……」888.888.888.888……「わからないの。多分……これを多分というのもおかしな話だけど……『どこでもない』」「どこでもない?」「そう。アクセス元は、無い」

 そのときだ!「イヤーッ!ーッ!ーッ!」黒い壁の亀裂から、人型のノイズが飛び出した!砂嵐ノイズで全身を覆うかのようなそれは空中で不自然に方向転換すると、ニンジャスレイヤーへ何ら躊躇なくトビゲリ・アンブッシュを仕掛けた!

「!?イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは驚くべき反応速度で突然のキック攻撃に対応、身を沈めてかわしながら蹴り返す!「グワーッワーッーッーッ!!」ノイズ人間は体をくの字に曲げて吹き飛びながら消滅した!ナンシーは驚愕した。彼女を遥かに上回る反応速度ではないか。

 だが、今の襲撃者は一体?ナンシーがwhoisコマンドを実行する時間すら与えず、新手のノイズ人間が二体出現した。さらに、より輪郭のはっきりした存在が近くの地面からせり上がってくる!身にまとうその砂嵐は、ニンジャ装束か?「ドーモーモーモーモ、私はインクィジターターターターターター」

 砂嵐ノイズのニンジャ装束は幻惑的にそのテクスチャーを変え続ける。「インクィジター」がオジギを行う間にも、亀裂の向こうから次々とノイズ人間が這い出してくる。電子コトダマ空間で今、理解を超えた何かが起ころうとしている……!



3

「ドーモ、インクィジター=サン。ニンジャスレイヤーです」ニンジャスレイヤーは素早くオジギした。すなわちojigiコマンドである。「01000110亞ファファ0100殺011薇麝00%10」インクィジターはクスクス笑いながら不明瞭な言葉を発した。

 亀裂から這い出した人型のノイズは十体に及ぶ。それらがヌメヌメとインクィジターの周囲に集まってくる。「00%01鵐01塵00010」……不穏だ!咄嗟にナンシーは空中へ飛び上がり、斜めに蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」

 蹴りつけた敵の身体をバネに、そのまた近くの敵へ飛び蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッワーッワーッ!」ゴウランガ!一瞬にして六体のノイズ人間が爆発四散した!

 コトダマ空間におけるサイバー飛び蹴り!およそ非現実的な身体能力、当然それは現実の物理法則下のものではない。これはすなわち彼女の恐るべきタイピング速度を示している。「001011塵0ファファファ00インインインクィジターはゆるゆるゆる許さないです」インクィジターがクスクス笑う。

「イヤーッ!」「「「「グワーッワーッワーッワーッワーッ!」」」」ニンジャスレイヤーがタツマキめいて回転し、無数のスリケンが残る四体に突き刺さる!爆発四散!「0001101011」「何者だ!」ニンジャスレイヤーは独りクスクス笑い続ける不気味なノイズ・ニンジャにジュージツを構えた。

「インインクインクィジター01001喙0ククク10011秘密を0010111アマ齦ノイワト01001譱01011」インクィジターが人差し指をナンシーに向ける。「イヤーッ!」「ナンシー=サン!」ニンジャスレイヤーは一瞬の判断で二者の間へ立ち塞がった。BLAM!「グワーッ!?」

 指先から発せられた光線がニンジャスレイヤーのかざした左腕を捉える!左腕はノイズ化して瞬時に消失した!「ニンジャスレイヤー=サン!?」ナンシーはうろたえた。kickコマンドか?異様な光景である。「大事ない!」ニンジャスレイヤーはインクィジターへ飛びかかった。「イヤーッ!」

 右腕を突き出したニンジャスレイヤーの身体は魚雷めいて回転しながらまっすぐにインクィジターの身体に突き刺さり、貫通した!「グワーッ!」胸の中心に大穴を空けたインクィジターがもがく。「イヤーッ!」さらにナンシーが間髪いれず飛び蹴りを繰り出す!「グワーッ!」

 インクィジターの頭がナンシーの蹴りを受けて千切れ飛んだ!ボディが爆発四散し、サッカーボールめいて飛んだインクィジターの頭は黒い渓谷に叩きつけられる。するとどうだ!渓谷はガラスに石を投げたように粉々に砕ける!視界の全てが割れ砕ける!

 地面すらもどうように砕け散って彼方に消えると、ニンジャスレイヤーとナンシーは落下し、おぼつかない足場に着地した。「実際安壑」と書かれた、浮遊するネオン看板である。UNIXのモジバケ現象を思わせる不気味な齟齬にナンシーは不安をおぼえる。足場の下はどこまでも続く緑色の輝く海だ。

「これはどういう事だ?」ニンジャスレイヤーはナンシーを見た。「当然、私にもわからない」ナンシーは答えた。「ただ、下の海には落ちないほうが賢明ね。ああいう単純で巨大なイメージに飲み込まれるのは避けるべき。コトダマ空間における基本メソッドなの」「成る程。それでわかった事にしておこう」

 ニンジャスレイヤーは上を見上げた。はるか上空に輝くのは、ゆっくりと自転する金色の立方体だ。現在の足場から少し離れたやや上に別の足場がある。やはり宙に浮く看板である。「おマミ」というポップ書体ネオンだ。そのまた少し離れたやや上に、さらに「おマミ」。「おマミ」「おマミ」……。

「導きに従うンだよ」老婆の声がニンジャスレイヤーのニューロンに木霊した。「上って行きな。さッきはすまなかッたね。ああも早いとは思わなンだ」「……」「インクィジターは番人なンだ。目を光らせている……仕方ない、このせッションは中止したいね、まずは頑張ッて帰りな」

「帰るだと?」ニンジャスレイヤーは虚空にむかって言った。返事は無い。「なに?」ナンシーは訝った。「いや」ニンジャスレイヤーはかぶりを振り、次の看板へ飛び移った。「進むしかあるまい」「そうね」

 二者は「おマミ」の看板を飛び石めいてどんどん跳び移って行った。緑の海ははるか下へと遠ざかってゆく。足場はやがて看板から巨大なフクスケに変わった。フクスケは遥か遠くまで連なっている。狂ったような光景だ。そのずっと先に、微かにトリイが見える。宙に浮く島にトリイが建っているのだ。

「あれか」両者は顔を見合わせた。そしてフクスケからフクスケへジャンプを繰り返す。気の遠くなる道筋……「傷はどうなの?」ナンシーは問う。ニンジャスレイヤーは己の左腕を見た。肘から先が消失し、切断面は砂嵐状に霞んでいる。「妙な感覚だ。痛みは無い。感覚は元のままだ。指先まで感じる」

「私もそんな状態になるケースは見た事が無い」ナンシーは言った。「ここにいるあなた、何から何まで妙よ」「この世界はIRCネットワークを可視化したものと言ったな?」ニンジャスレイヤーが問う。「ええ」「私は入り込んでしまったと?その……UNIXのキカイの中に?」

 ニンジャスレイヤーの声は神妙だった。ナンシーは答えに困りながら、「私にもワケがわからないと言うしか無い……当然ながらUNIXデッキに接続した本来の私は、この姿とは別に……現実世界にある。だってここはイメージの世界なんだから」「そのイメージの世界に私は……つまり身体ごと……」

「オオオオオオ!」背後で轟々たる叫び!二者は跳びながら振り返った。緑の海が高く盛り上がる!雲をつくような巨大な人型に!「オオオオオオ!オオオオオオ!」緑の水で出来た巨人は二者が渡って来た看板やフクスケを払い落としながら追ってくる。それら足場は巨人の親指ほども無い!

「インインイインインインインインインクィジターターターターターターターターターターター!」巨人が唸り叫び、ニンジャスレイヤーに手を伸ばす!ナムサン!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは背後へスリケンを投擲!四枚のスリケンが手のひらに突き刺さる!「グワーッワーッワーッワーッワーッ!」

 巨人……おそらくはインクィジター……がひるむ!ニンジャスレイヤーとナンシーは跳び移る速度を加速!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!

「オオオオーンンン」ふたたび巨人の手が迫る!ナムサン!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは再び背後へスリケンを投擲!四枚のスリケンが手のひらに突き刺さる!「グワーッワーッワーッワーッワーッ!」フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!

 トリイは?まだ先だ!だが確実に近づいてはいる!「私は警告された」跳びながらニンジャスレイヤーは言った。「なに?」「つまり、私はオヌシと違い『ここにいる』。オヌシがここで仮にあれに倒されたとしよう、すればオヌシはUNIXデッキの前で目覚めるわけだな?」

「そう簡単でもないわ、無事で帰れるとは限らない、ニューロンが焼けたり……でもまあ、戻りはするわね。貴方が言いたい事はわかる」「そうだ。私がここで死んだりハッカーにkickされれば、私と言う存在が消滅する。どうやらそういう事だ」「……難儀ね」「戻らねばならん。『外』に」「そうね」

「オオオオーンンン」またも巨人の手が迫る!ナムサン!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは再び背後へスリケンを投擲!四枚のスリケンが手のひらに突き刺さる!「グワーッワーッワーッワーッワーッ!」フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!フクスケ!

「間に合わぬか……!?」ニンジャスレイヤーは絶望的に前方のフクスケを睨んだ。背後の巨人はまたも彼らに迫ろうとしているのだ……と、その時だ!「お乗り!」しわがれた声が天上から降って来たと思うと、前方のフクスケを吹き飛ばしながら、巨大なカラスが急降下して来た!

「万事休す……」ナンシーは呻いた。これは『前門のタイガー、後門のバッファロー』の故事と同様だ!だがニンジャスレイヤーは賭けた。カラス!バーバヤガが手なずけていた動物だ。そして今の声!「ナンシー=サン。カラスだ。カラスにつかまれ」「本気?」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは跳んだ!

「オオオオーンンン!」インクィジターの手の平がナンシーに襲いかかる!「ナムサン!」ナンシーはニンジャスレイヤーに続いて跳躍!二人は巨大なカラスのそれぞれの足首につかまった!「ガーッ!」カラスが叫ぶ!迫るインクィジターの手の平!だがカラスの加速が先んじた!

「010聰00蕚1010%%0001000熬1……」唸る巨人を引き離しながら、二者をぶらさげた巨大カラスはぐんぐん加速する。流れ去るフクスケは緑のグリッドの上空を飛び交う白いパルスに還元され、赤いトリイがいよいよ口を開けて、あらたなチャネルへ突入せんとする彼らを迎え入れる……!


【To Be Continued】

このエピソードの掲載は変則的なスケジュールがとられており、後半のセクションは第2部において出現しました。今回は第1部時点で掲載された部分のみをまとめています。


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