【カレイドスコープ・オブ・ケオス】#10
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KRAAASH! よろめいたリディーマーの背中が塔の壁に衝突した。ビッグニンジャの質量によって最終処分塔は激しく震動し、湾曲した壁面に亀裂が生じた。ストコココピロペペー! そして今まさに、積み上げられたUNIXのモニタが一斉に、ジャンプする128体のポリゴン体と麻雀牌を乱舞させたのである!
「何かすごいぜ……!」ザックは本能に訴えかける映像に怯んだが、すぐにコトブキを心配した。「大丈夫?」コトブキの見開かれた両目には「接続」の漢字が表示されている。LAN直結行為を継続しながら、コトブキは頷き、サムアップした。「おのれ……コシャク……!」リディーマーが唸る!
「イヤーッ!」アナイアレイターが鉄条網を練り上げ、リディーマーに放った。リディーマーは茨めいて絡みつく鉄条網に構わず、裏拳を壁に叩きつけ、壁の亀裂をさらに広げた。「イヤーッ!」KRAAASH!「……イヤーッ!」KRAAASH! 壁が砕け、異彩の空が露となる。更に彼は力を込めた!「イヤーッ!」
「グワーッ!?」アナイアレイターの身体が宙に浮いた。鉄線ごと強引に引き寄せられたのだ!「貴様! ズガタッキェー! シュコーッ!」「グワーッ!」殴り飛ばされ、塔外へ放り出されるアナイアレイター!「出直せ!」たちまち、塔上空を旋回していたカイトゲニンがハゲタカめいて一斉に襲いかかる!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」落下しながら身を守るアナイアレイターを啄むように襲うカイトゲニン達! ジツ封じからの復帰を経たばかりのアナイアレイターは、この逆フーリンカザン落下状況を覆せるのか……?
「行け!」ニンジャスレイヤーがアズールに叫んだ。「ここからは、おれのイクサだ!」「……!」アズールは瞬時に状況判断し、牽制のマグナム銃撃を残して、透明の獣にしがみつき、塔外に身を躍らせた。塔外壁を垂直に駆け下りる獣を掴みながら、アズールはアナイアレイターを襲うカイトゲニンを迎撃する。アナイアレイターは金色の目を光らせる!
「イイイヤアーッ!」降下していった二人のニンジャの着地点で鉄条網が爆発し、市街を四方八方に駆け巡り始めた。ニンジャスレイヤーはリディーマーに言い放った。「貴様の相手はおれだ」「シュコーッ! ネザーキョウに楯突く破壊者めが」リディーマーは全身にカラテを漲らせた。「ナガシノは、やらせんぞ!」
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが赤黒の炎痕を刻み、リディーマーの側面に回り込む。リディーマーはUNIXデッキの山からジャンクを掴み、無雑作に投げつける!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは昇り蹴りでジャンクを破砕し、スリケンを投擲! リディーマーは構わず、肩で突進!
「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはバッファロー殺戮武装列車じみたリディーマーのビッグショルダータックルに弾かれ、塔外に射出されかかる!だが!「イヤーッ!」「グワーッ!?」跳ね戻ったニンジャスレイヤーの蹴りがリディーマーの横面に叩き込まれた! フックロープである!
だが、リディーマーは踏み留まる! 並のニンジャならば首が720度は回転しボトルキャップじみて撥ね飛んで死んだ筈! しかしリディーマーはビッグニンジャなのだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」リディーマーはニンジャスレイヤーの足を掴んだ!「蚊め。握り潰してくれる!」
「スウーッ……フウーッ!」ニンジャスレイヤーは瞬間的に呼吸を深め、全身をアイソメトリクス緊張させた。「グヌ!?」リディーマーは目を血走らせた。握り潰せぬばかりか、これは!「グワーッ!?」指の隙間から黒炎が溢れ出た!「コシャクナーッ!」たまらずニンジャスレイヤーを投げ飛ばす!
赤黒の火炎車じみて回転しながら跳んだニンジャスレイヤーは、塔の壁にチョップを突き刺し、しばし制動した。彼は積み上がったUNIXのふもとで奮闘するコトブキ達を見た。既にゲニン達は全滅。モニタに映るのはハッキングの兆候らしきメガデモ映像。『ザリザリ……ニンジャスレイヤー=サン!』
ニューロンに声が繋がった。『啓示を与えようニンジャスレイヤー=サン! 我、デジタルオ……』「ここのシステムは使えそうか、タキ」ニンジャスレイヤーが問うた。『あ、ああ。その点は任せてくれるといい。神話的な活躍をしてシステムを掌握する……』「ここの主を潰す。準備しておけ」『OK……』
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