S3第6話【エスケープ・フロム・ホンノウジ】分割版 #9
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「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」カネトはドーンブレイドを殴って怯ませ、更に繰り返し打撃をくわえた。ドーンブレイドの装束は焼け焦げており、気力で動いている状態のようにも思えた。だが、カラテは絶えていない!「イヤーッ!」「グワーッ!」殴り返す!
勇ましい火を噴き、忌まわしき五重塔を連ねるホンノウジの都が後方に遠ざかる。トムが懸念していたカイト部隊による襲撃はなかった。体勢を整えるのに時間を要しているのか。脱出を過小評価しているのか。ドーンブレイドが自身の手で試練任務とやらを遂行することを、タイクーンが重視しているのか。
わからない。わかりようもない。とにかく侮ってはならないのだ。トムが後にする都は常識の通用しない世界だ。地獄が口を開け、オニが徘徊し、バケモノがのたうつ世界に、文明国の尺度は通用しないのだから……!
「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」機体が揺れる!「ガンバレ……ガンバレ」トムは呟き、操縦桿を握る力を強めて、失速しないよう必死になった。「イヤーッ!」「グワーッ!」カネトの蹴りがドーンブレイドの膝を打ち、ドーンブレイドはバランスを崩してスキッドから足を滑らせた。「イヤーッ!」「グワーッ!」カネトはドーンブレイドの肩を打った!
ドーンブレイドが滑り落ちる! そしてカネトの足首を掴んだ。「グワーッ!」「カ、ネ、トォーッ!」ドーンブレイドは目を燃やした。カネトは振り払おうとするが、グリップ力が強まる!「逃げたところで負け犬の人生には何の価値もない! 俺の前には未来がある。未来と、イサオシが! 俺の犠牲となれ!」
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