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海に向かう逃避行〆切探偵ザザ

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ザザとは! ダイヤモンドの義眼を持つ超常探偵である! 彼は様々な期日を察知して現れ、人類に害をなす超次元存在を退治するのだ。放て! 義眼光線!


◆◆◆


「マジで熱が出てるんです」「わかった、わかった、お大事に」「マジになんですよ」「わかったってば。お大事に」「なんで信じてくれないんですか!」「疑ってないから。ゆっくり治しなさい」「本当なんです! ゲホゲホッ!」オレは咳き込みながら電話を切った。

「……フー。海でも行くか」

 オレは社会人三年目の男、ジェイムズ。ようやく飲み会のクソ幹事を後輩に押し付けられる立場になった。だけど毎日何かが満たされない。それはきっと、野生を置き去りにしちまったからだ。桜も散った。そして俺の中の野性も……。「大丈夫よ、ジェイムズ」最初はリンダもそう言ってくれた。最初はな。

 リンダは最近返事もまばらだ。そりゃそうさ。でも俺は諦めたくない。コンクリートジャングルでなまっちまった本能を……俺の俺自身に取り戻すんだ。それが会社にとっても利益になる。そうだろう? このままじゃ仕事も手につかない。だから海に行っていい。労災申請だ。オレは会社と逆の電車に乗った。

 何度か電車を乗り継ぐうちに、磯の匂いを感じた気がした。ボックス席に座ったオレは、缶チューハイと普段読まない週刊誌とカツサンドを買って、早速遠足気分だ。まずは袋とじを、こう、下からこうやって、見る。当然オレは週刊誌を買ってるんだから好きに破いていい。だけど興奮したいんだ。

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