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【バトルグラウンド・サツ・バツ】13

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これはニンジャスレイヤー本編とは異なるスピンオフ小説です。



【バトルグラウンド・サツ・バツ】 13




 荒れ果てた松林。頭を砕かれたオジゾウの列。暗い木々の間を駆け抜ける、白装束のニンジャあり。ニンジャの名はホワイトアウト。ロシアンヤクザ組織〈過冬〉が誇る、マインド刺客ニンジャであった。

「ハァーッ! ハァーッ……!」

 ホワイトアウトは息を切らし、なりふり構わず走る。このバトルグラウンドに散っていった仲間たち3人の姿が、ソーマト・リコールめいて蘇る。ホワイトアウトは、その唯一の生き残りだ。彼らはただ1人――ただ1体というべきか――のニンジャによって壊滅に追いやられたのだ。

 カレイドスコープの断末魔の叫び。その死に様に恐慌にとらわれ、発狂マニアックめいて逃走するチェンバーレインの後ろ姿。

 この暗黒遊戯の秘密まであと一歩と迫りながらも、スモークドラゴンはカレイドスコープの仇討ちに心とらわれ、判断を誤った。二人は〈過冬〉においても鳴らした使い手であり、その爆発四散にホワイトアウトは強い衝撃を受けた。

 彼らを襲った恐るべきニンジャの名は、カラミティ。巨大な悪魔の死骸の如きニンジャであり、「動く災厄」と呼んで過言ではない。

 カラミティと相対すれば、怒れる山を前にしているようだ。動きは鈍いが、ひとたびイクサを開始したが最後、どこまでも執拗に追い続けてくる。それは縮小を続けるこのバトルグラウンドにおいて、逃れ得ぬ死と同義であった。

「クソッタレめ! クソッタレめ……!」

 ホワイトアウトはすなわち、その唯一の生存者だった。それまでの計画をあきらめ、バトルグラウンドの外縁から内側に向かって逃走。ジツの力でどうにかカラミティをまき、この松林へと逃げ込んだのである。

「ザマあ見やがれ! ここまで逃げりゃあ、もう……!」「イヤーッ!」

 おお、ナムサン! 何たるバトルグラウンドの無慈悲であろうか! ホワイトアウトが安堵の息をついた直後、松の枝から軍鶏シャモめいた黒装束ニンジャが飛び降り、襲いかかったのだ!

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